マンガで読める『夢酔独言』

マンガで読める『夢酔独言』

勝海舟の父親・勝小吉の自伝『夢酔独言』がマンガで読めるブログです。

和柄コレクション 古典的なうさぎの和柄

 うさぎといえば、現代では「かわいい」モチーフとして定着していますが、もともとは野山を駆ける野生動物として観察され、そのイメージが模様の意味になりました。

 

 うさぎの和柄は、「物音をよく聞き取れる」「健脚」というイメージから、かつては武士に好まれ、また、「多産」の象徴として、女性にも好まれました。

 耳をピンと立てていたり、長く強調された手足で跳ねていたり、あるいはじっとうずくまった姿が模様になっています。

 「因幡の白兎」から「波にうさぎ」、月で餅をついているという故事から、「月にうさぎ」あるいは「杵を持ったうさぎ」という定番の組み合わせもあります。

 

 この記事では、主に江戸時代元禄期~大正時代の古典的なうさぎの和柄を紹介します。

 

 

・兎に牡丹(型染木綿)f:id:hayaoki6:20190421120303j:image

 

 ボタンの花と、うさぎの組み合わせです。うさぎは扇を背負っていて、それぞれ松と竹が描かれています。

 明治~大正時代。

 

・桃兎(消しゴムはんこ
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 家紋に見られる定番のパターン。江戸時代の陣羽織より。

 

・跳ね兎(消しゴムはんこ
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 江戸~明治時代の古布から、うさぎだけ抜き出しました。本来は、波が描かれています。そう思って見ると、波の上で跳ねているように見えますね。

 

・影兎(消しゴムはんこ
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 江戸元禄時代の何か(忘れた…)から再現したもの。長い耳が強調されています。とても洗練されたうさぎの模様です。

 
・うさぎうずくまる(消しゴムはんこ
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 浮世絵に登場する着物より再現。鼻先が水色で塗られています。

 

・型紙兎(消しゴムはんこ
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 江戸中期の型紙摺印判皿より再現。元の皿の周りには、波の模様が描かれています。たくましい手足。

 

・兎影絵(消しゴムはんこ
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 手遊びでうさぎを表した図です。浮世絵の、子供の遊びのシーンから取りました。

 

 

 

・オマケ うさぎの銅像f:id:hayaoki6:20190421133549j:image

 

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  古いウサギの置物。多分、臼とセットだったんじゃないでしょうか。リアルだけど上着来て杵持ってる。服がパツンパツン。

 

 

 

 

マンガ『夢酔独言』目次⑨ 晩年編

  マンガ『夢酔独言』の百二十三~百三十二話が、ここから読めます。

  夢酔(=小吉)38~42歳、大坂旅行から帰ってから『夢酔独言』を書くまでのエピソードです。無断で大坂へ行ったことがバレて「他行留(たぎょうどめ=外出禁止)」の罰を食らったり、持病の脚気が悪化したり、天保の改革で家を引き払ったって地元を離れたりしますが、『夢酔独言』を書くに至った境地は、決して暗いものではありませんでした。

 息子・麟太郎(後の勝海舟17~21歳。師・島田虎之助の教えで座禅を始めたり、夜通しの寒稽古をしたり、万国地図を見て衝撃を受けたり、未来の妻と出会ったりします。

 各話あらすじ付き。麟太郎のエピソードには、★マークを付けました。

 

 

 

  • ・百二十三話 最後の喧嘩
  • ・百二十四話 他行留★
  •  ・百二十五話 夢酔ストレスフル
  • ・百二十六話 息子の座禅、父の物欲★
  • ・百二十七話 夢酔、倒れる
  •  
  • ・百二十八話 麟太郎、鉄になる★
  • ・百二十九話 お前様を離しはしませぬ
  • ・百三十話 地球中の小国★
  • ・百三十一話 父のあきらめ、息子の功名心★
  • ・百三十二話 決しておれの真似をばしないがいい
  • ・次回以降予告

 

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和柄コレクション 桜の和柄 いろいろな種類と組み合わせのパターン

和柄コレクション 桜の和柄 いろいろな種類と組み合わせのパターン

 

 春の和柄の代表格、桜。単体でも、他のモチーフと組み合わせても使われる万能選手です。

 この記事では、桜単体の形いろいろと、他のモチーフとの組み合わせの例を、主に古典和柄の再現で紹介します。

 

 

 

  • 和柄コレクション 桜の和柄 いろいろな種類と組み合わせのパターン
  • ●単体
    • 古伊万里に使われる古典的な桜の形
    • ・輪郭を白抜きした桜
    • ・桜鉢と霞
    • ・陰桜
    • ・明治時代の友禅の桜
    • ・葉桜
    • ・桜の咲き様
  • ●組み合わせ
    • ・桜と桜独楽
    • ・桜と短冊
    • ・桜に琴柱
    • ・桜に轡
    • ・桜と鰹
    • ・オマケ、桜と桜貝

 

 

 

●単体

 

 

古伊万里に使われる古典的な桜の形f:id:hayaoki6:20190325115340j:image
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『夢酔独言』 百三十四話 男谷精一郎対島田虎之助

『夢酔独言』 百三十四話 男谷精一郎対島田虎之助

 

 前回までのおさらい:天保八年(西暦1837)、江戸へやって来た九州の剣豪・島田虎之助。江戸での剣術試合は連戦連勝だった虎之助だが、男谷道場の主・男谷精一郎には一勝二敗と負け越す。ほぼ互角と取る虎之助だが、剣術遣いの井上伝兵衛に「あなたは男谷殿に手も足も出なかったのと同じだ」と言われる。

 

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マンガ『夢酔独言』目次⑧ 上坂編

 マンガ『夢酔独言』の百八~百二十二話が、ここから読めます。

 小吉37歳冬の大川丈助と岡野孫一郎の騒動から、摂州へ行って御願塚村で金談をし、江戸へ帰るまでのエピソードです。

 「上坂編」全体と、各話あらすじ付き。

 

 

 

・あらすじ

 

 29歳の時本所・入江町に引っ越して来た小吉は、金に困っているという地主・岡野孫一郎の世話をする。道楽者の孫一郎のために自分が貧乏になってしまう小吉だが、孫一郎の臨終に、後の孫一郎(息子、当時14歳)の世話を頼まれる。

 後の孫一郎もまた道楽者で、酒を覚えてから岡野家は乱れ始める。

 小吉が隠居する前年、岡野家に大川丈助という用人(武家の庶務・会計係)が雇われる。小吉は岡野の親類に頼まれて大川丈助を雇わないよう孫一郎に言うが、「地面を返してくれ(=出て行け)」と言われ、ケンカ別れになった。

 丈助は岡野家の支払いをたびたび立て替えていたが、1年半後、339両(約3000万円)の返金を強訴する丈助に、返金のあてがない岡野家は困り果てる。小吉は騒動を傍観していたが、島田虎之助に諭され、解決に乗り出した。〈前編〉

 

 解決策とは、岡野家が支配している摂州の御願塚村へ行き、「地頭(岡野家)のために金を出せ」と説得すること。

 10月、隠居して「夢酔(むすい)」と名を改めた小吉は、12月19日までに金を用意すると約束して、11月9日、家来を連れて上坂する。

 村へ着くと、江戸で聞いた話と違って、金を出す余裕はないという。

 夢酔一行に反発し、竹槍まで持ち出した村人たちの心を、徐々に掌握していく小吉。しかし12月に入っても、金は得られないまま。〈中編〉

 

 ある晩、小吉は村人を集め宴会を催し、その最後に切腹をする。〈後編〉

 

 

 

●前編(百八~百十二話)

 

 地主・岡野孫一郎のあらましから、大川丈助登場、立て替え金騒動を経て、小吉が江戸を出発するまで。

 

・百八話 後の孫一郎もまたふしだら

 

  岡野家の新当主となった孫一郎だが、毎晩乱酒をして、家風は乱れるばかり。

 孫一郎の叔父が大川丈助という用人を雇おうとするが、親類たちは反対する。頼まれて丈助を雇わないよう孫一郎に忠告する小吉だが、ケンカ別れになる。

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和柄コレクション 春の野草

 和柄コレクション 春の野草

 

 

 春の和柄といえば、桜や藤、牡丹がメジャーですが、タンポポやスミレなど、野草類の和柄もあります。図案化された模様として使われたり、春の風景として、蝶と組み合わされたりもします。この記事では、浮世絵の中の着物に使われた古典柄から、はやおきオリジナルの模様まで、春の野草の和柄を紹介します。

 

 

 
・芹(浮世絵より)f:id:hayaoki6:20190321094902j:image

 春の七草のひとつ、芹(せり)。夏ごろ、白く繊細な花を咲かせます。浮世絵で着物の模様になってました。芹は根っこも食べられるので、このように根と葉が強調された柄になっています。

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マンガ『夢酔独言』目次⑦ 隠居編

 マンガ『夢酔独言』の百一~百七話までが、ここから読めます。

 小吉37歳、息子・麟太郎16歳。小吉が隠居してから、『夢酔独言』最大のスペクタクル長編シリーズ「上坂編」が始まる前の、気楽かつ自由な日々です。今までもそうだった気もするけど。

 各話あらすじ付き。★マークの話には、麟太郎(後の勝海舟)が登場します。

 

 

 

・百一話 小吉の乱心★

 

  小吉、37歳。春、隠居して麟太郎に家督を譲り、あとは息子の出世を見守るばかり…と思っていたら、同年(天保九年)5月、息子が仕えるはずだった前将軍の孫・一橋慶昌様が死去、出世の望みが消える。怒り狂った小吉は…。

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