マンガで読める『夢酔独言』

マンガで読める『夢酔独言』

勝海舟の父親・勝小吉の自伝『夢酔独言』がマンガで読めるブログです。

小吉の居た場所(小吉0~16歳)

小吉の居た場所(小吉0~16歳)

 

 本所、浅草界隈を中心に、江戸の町に生きた小吉。この記事では、『夢酔独言』に出てくる地名を、主人公・小吉の足跡とともに紹介します。

 第一回は小吉が生まれてから、14歳で家出し、帰ってくるまで居た場所です。

 

 

 

 

子供編

 

 

 

・5歳~7歳

 

深川油堀(江東区

汐入(しおいり)の池のある屋敷

 

・8歳

 

駿河台(千代田区)太田姫稲荷の向う

若林氏の屋敷を借りる。

 

・9歳

 

本所亀沢町(墨田区

普請が出来て引っ越す

横網

養家の親類の柔術の先生(鈴木清兵衛)の稽古場

榛の木馬場にて相弟子とその親に襲われる

→榛稲荷(墨田区両国)の近所にある馬場。榛の木が植えられていた

御竹蔵までにげた。門番と友達だった

→幕府の資材置き場。「二間ばかりのぬま堀」

→本所七不思議のひとつ、置いてけ堀

 

・10歳

 

伊予殿橋(伊予橋のことか・江東区、深川油堀の近所)

馬術の先生の屋敷

馬喰町(中央区

火事場に馬で乗り込んだ

津軽(本所津軽屋敷のこと)まで御使番に追いかけられた

隅田川

馬で土手を走った。鐙を片方川に落とした

 

・11歳

 

駿河:剣術の先生(鵜殿甚左衛門)に弟子入り。左右伝授をもらう

 

・12歳

 

聖堂湯島聖堂(文京区)のこと。学問を習いに行った

桜の馬場:聖堂の垣根をくぐった隣にある馬場。学問をサボって馬に乗った

信州(長野県):大兄・彦四郎が五ヶ年詰めきりをした(小吉が12歳の時江戸に帰った)

 

・13歳

 

秋、大兄が信州へ帰る

 

 

 

家出編(14歳)

  

5月28日

品川(東海道の最初の宿駅)

初日

藤沢(神奈川県、東海道六番目の宿駅)

初日泊まる。翌朝早く発つ

※町人風の男2人と合流

小田原(神奈川県、東海道九番目の宿駅)

2日目泊まる

関所(箱根、神奈川県)

3日目越す

浜松(静岡県

2人と泊まった翌日、身ぐるみはがされたことに気付く

宿屋の亭主から柄杓をもらって物乞いをする

計2泊して発つ

 

伊勢神宮三重県

夜は松原、辻堂にて寝る

 

伊勢の相生の坂

物乞い(江戸神田黒門町の村田という紙屋の息子)と親しくなる

御師太夫の家でもてなされるも、翌日逃げ出す

 

※龍太夫にもらった銭を使ってしまい、手ぶらになる

 

駿河府中(静岡県東海道十九番目の宿駅)

宿場町の中心あたりに観音堂があり、毎晩縁の下で寝た

 府中の城(駿府城か)の脇に葵紋を扉に付けた寺、脇に竹藪、更に脇に馬場があり、侍の馬の稽古を見学

町奉行屋敷の横丁に与力の家があり、6,7日滞在の末、夜逃げ出す

安部川(静岡県安倍川のことか)の向うの地蔵堂で、与力の家を出た晩に寝る

 

※翌日より上方のほうへ逃げる(3日間)

宇都宮(栃木県)

地蔵堂で2晩寝た

午後8時頃、物音で起きる

鞠子(静岡県東海道二十番目の宿駅)

小屋で博奕打ちに恵んでもらう

半道ばかり戻った所の地蔵堂で賽銭をあげて寝る

 

四日市三重県東海道四十三番目の宿駅)

物乞いの男と再会

松原に寝転んでいっしょに飯を食べて、寝る

 

伊勢山田(三重県

物乞いの男と別れる

 

※10日間ほどふらふら、四日市へ戻る

 

白子(三重県)の松原

泊まった晩に頭痛と発熱、翌日は寝込む

2日経って道へ出て、1文ずつもらい、7日ほど過ごす

道の少し奥の寺の坊主に麦粥をもらう

22,3日松原で寝て過ごす

23日目から足が立つようになり、竹杖で少しずつ歩く

3日後、寺へ行ってお礼

 

※1日1里(4㎞弱)ほど歩いた

 

伊勢路

生米をかじっていたら体調が悪くなる

河原の土橋の下の大きな横穴で5,6日寝ていた

若い男2人が来て、いっしょに6,7日過ごす

河原より17,8町(約2㎞)脇の村で番人に殴られる

 

府中まで帰る(7月、江戸を出て一月~一月半頃)

 

伝馬町(詳細不明)

米屋で施行のひきわり米と銭を取る

観音堂で其晩は寝る

 

二丁町(静岡県

女郎屋の客に恵んでもらう

幕府公認の遊郭があった

昼は府中で物乞い、夜になると伝馬町の木賃宿へ戻ってきて泊まった

宿代、食物代がたまって、もらった着物を質に入れて出る

 

※再び上方を目指す

 

石部(滋賀県東海道五十一番目の宿駅)

宿場町のはずれの茶屋で秋月藩の親方に出会う

親方にしばらく世話になる

 

府中へ来た夜、親方が喧嘩をして国へ帰るため、別れる

 

※物乞いをしてふらふら

 

ある崖から落ちて岩で金玉を打ち気絶、翌日気が付く

2、3日して歩き始める

 

箱根

金玉が腫れて膿が出る

翌日、二子山へ。その晩はそこで寝る

    明け方三度飛脚に銭をもらう

 

三枚橋(神奈川県)

茶屋の脇に寝ていると、人足兼漁師の喜平次に飯をもらう

小田原

喜平次の家に行き、おから飯と魚を食べる

1日経ち、漁師仲間に挨拶

翌朝から毎日海に出る

14,5日滞在

※この時点で江戸を出て4ヶ月

 

閏8月2日、午前2時、喜平次の家を逃げ出す

一日歩き、夜江戸に入る

鈴ヶ森(品川区)

野犬に囲まれる

→死刑場があった

 

高輪(港区)

漁師町の裏へ入る

海苔取り船をひっくり返して中で寝る

翌日昼まで寝ていたら、地元の人に見つかっ叱られる

愛宕山で1日寝ていて、夜は坂を下りるふりをして茂みで寝た

 

※3日間人目を忍ぶ

 

両国橋(港区または墨田区

愛宕山を出てから5日目

回向院(墨田区

両国橋を出た翌日

毎晩物乞いに出た

物乞いの頭(かしら)に仲間に入れと言われたので、飯だけ食って逃げた

 

亀沢町

野宿するには敷居が高く、引き返す

※材木問屋の河岸で寝る。3日間ほど滞在

 

本所

帰宅。10日間ほど寝て過ごす

だんだん具合が悪くなり、2年間ほど家で過ごした

 

 

 

まとめ

 

 東京や関東地方に住む方にとっては、馴染みのある地名が沢山あったのではないでしょうか。

私は徳島県民なので、改めて調べながら、小吉と一緒に江戸、東海道を巡った気分になりました。

 今回調べた中で特に印象的だったのは、「横綱町」ではなく「横網町」ということと、小吉が勉強をサボって行ったという馬場が、本当に聖堂の垣根をくぐった隣りにあったことです。

 

 一回の記事ですべての地名をまとめようと思っていたんですが、小吉16歳でこの量ということで、次回は青春編(小吉16~21歳)に出てくる地名をまとめます。

 

 

 

おまけ

 

 

・幕末の東海道愛宕山の写真

 

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東海道、横浜―藤沢間


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箱根旧街道


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小田原


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三枚橋


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愛宕山

 

F.ベアト写真集『幕末日本の風景と人びと』より

 

 

 

・マンガ『夢酔独言』該当エピソード

 

 

↓0~12歳までのエピソードはこちら

musuidokugen.hatenablog.com

 

↓13~14歳、家出のエピソードはこちら

musuidokugen.hatenablog.com