『夢酔独言』 五十二話 これはお主を入れる檻
21歳、二度目の家出をした小吉。遠州掛川の中村帯刀の家に居候していましたが、どういうわけか、甥っ子の新太郎が、掛川まで小吉を迎えに来ました。
で、道中ハプニングもありながら、あっさり江戸の自宅に帰った小吉。みんなが何も言わないので安心していたら、知らない間に、自分を入れる檻が出来ていました。
「新太郎」というのは彼、男谷精一郎の幼名です。彼が小吉より年上だとすると、小吉が21歳の現時点でまだ幼名というのはありえませんが、原作が「新太郎」表記なので、そのままにしておきました。
「おまへの迎に外(ほか)の者をやつたら、切りちらして帰るまいと、相談のうへわたしがきたから、是非とも江戸へ一度帰りての上、どふともなされ」
小吉、親戚間でどういうキャラ設定だったんだ…。
新太郎が宿で気絶をしたのも原作通りです。危険人物を説得して連れて帰るわけですから、マンガのセリフにあるように、そうとう気を張っていたのかもしれません。
一つ謎なのが、小吉を入れる檻をいつ作ったかです。
小吉は江戸の自宅に帰って一晩過ごした後、お兄ちゃんの家、お父さんの家にそれぞれ行き、
…内へ帰つたら、座敷へ三畳の檻を拵て(こしらえて)置て、おれをぶちこんだ。
とあります。
前々から準備しておいたとしたら、小吉が帰った当日見つかりかねません。翌日小吉を呼び出している間に、組み立てた可能性が高いです。
五十三話に続きます。