『夢酔独言』 五十四話 二十四歳で隠居も早過ぎる
21歳の秋檻に入れられた小吉は、24歳の冬を迎えます。3歳の息子に家督を譲ろうとして父に怒られ、就職活動を始めますが…。
主人公交代の危機は、お父さんが阻止しました。小吉24歳の時点で、お父さんは70歳ぐらいです(お父さんが何歳の時小吉が生まれたか、ずっとそらで覚えていたため、いざ明確に書こうとすると資料がぱっと出てこないため、明記は避けます)。息子の優秀さは現代では誰もが知っていますが、檻の中の小吉は会ったこともないんだから、当然分かっちゃいません。
「いん居をして、息子が三つになるから、家督をやりたゐ」といつたら、「夫(それ)は悪い了簡(りょうけん)だ。是まで種々のふらちがあつたから、一度は御奉公でもして、世間の人口をもふさぎ、養家へ孝養もして、其上にてすきにしろ」と親父がいつてよこしたから、「尤も(もっとも)のことだ」とはじめて気が付た故…
初めて気付いたのか…。
それから就職活動を始める小吉ですが、なかなかうまくいきません。
一方、そばに居るはずの息子の気配がない。
五十五話に続きます。