『夢酔独言』 百十話 岡野家大混雑
かつて小吉が世話をした地主一家の岡野家。339両(3000万円超)もの立て替え金を返す返さないが元で、大騒動に発展します。
まず、返金を求める用人・大川丈助が老中の駕籠を待ち伏せして直訴。雇い主である岡野家は丈助の身柄を引き取って禁固処分にし、両者話し合いをしますが平行線。そうこうしているうちに丈助が再び直訴、丈助の妻も直訴、その惣領も直訴。組頭仮病で引退、岡野家小普請組編入の危機…。
一方その頃、主人公・勝小吉は弁当を食っていた…!
前回までのおさらい:
・勝小吉
『夢酔独言』本編の主人公。先代の孫一郎の時代に岡野家を世話して立て直して、後継ぎの孫一郎(旧孫一郎の息子)も託されたが、当の新孫一郎がちゃらんぽらんなうえに忠告を聞かないので、ケンカ別れ状態。前回に引き続き、義太夫節を聞いて弁当食べてるだけ。
・岡野孫一郎
ちゃらんぽらんな岡野家新当主。毎晩乱酒し、親類にナメられている。用人の大川丈助にアホほど支払いを立て替えてもらっていたが、いざ返せと言われても返せるはずもない。
・大川丈助
岡野家に雇われた用人(庶務・会計係)。岡野家に天文学的金額の立て替えをしているが、水増しの疑いあり。その金を岡野に返せと言うも、返してくれないから老中に直訴した。
要約すると、岡野家は大川丈助へ立て替え金の返済を迫られて困っているってことです。
今回は、ただただダメ当主の孫一郎の困りようを楽しむ回です。
百十話での岡野家の困り事一覧
・丈助がご老中に直訴した(違法)
→丈助の身柄を引き取るも、見張り番が居ない
→臨時の侍を雇わなきゃ
・丈助との話し合いがいっこうにまとまらない
・丈助がまた直訴する(違法)
・丈助の女房も直訴する(違法)
→臨時の侍を雇う
・生活費に困り、借金するために奔走
・丈助との話し合いがやっぱりまとまらない
・また丈助の女房が直訴(違法)
・丈助の長男も直訴(違法)
→またまた臨時の侍を雇う
・こじれ過ぎて組頭(くみがしら)が辞職
・丈助との話し合いが(以下略)
・押し込めにしていたはずの丈助の長男が逃亡
→裁判沙汰の危機、岡野家の家名に関わる大ピンチ
・丈助の女房が断乳
→丈助の子供三人を養うため、子守りと乳母を雇うことに
→御張衆に相談したら、ややこし過ぎて逃げられた
たった10ページ間に、いろいろあり過ぎでしょうが。
それにしても丈助側は違法な訴えをし過ぎですが、孫一郎側の方が困っているところを見ると、法的には、雇い主である岡野家に責任があるようです。
当人は生きた心地がしなかったでしょうが、マンガでは、その困り具合で、ダメ当主・孫一郎がかなりいいキャラになってくれました。
さて一方、主人公の小吉ですが、前回に引き続き、義太夫節(浄瑠璃の一種)を聞いて弁当食べて、虎(島田虎之助)の家でゴロゴロしてるだけですが、次回、ついに重い腰を上げます。
百十一話「島田虎之助、勝小吉を動かす」に続きます。島田虎之助さんが、ゴネる小吉を説得します。