2019年の冬休み、いよいよ超面白いマンガ『夢酔独言』のペン入れを開始した『夢酔独言』専門漫画家のはやおきです。
この記事は、今までテキトウに描いていた時代劇作画についてのあれこれを調べ、ついでにブログのネタにすることで、皆様に還元しようという企画です。あくまではやおき調べなので、「何か描いてるな~」程度に捉えてくださいませ。
随時更新。新しいのが上に来ます。
・股立(ももだち)を取る
袴の両脇にある三角の開きの縫い留め部分を、股立(ももだち)といいます。股立を袴の紐に挟むことを、「股立を取る」といいます。
今まで、袴をたくし上げるシーンでは、裾(すそ)を紐に挟んでいましたが、改めて調べてみると、裾は収納せず、ピラピラしてるようです。
絵図によっては、裾を挟んでいるように見えるものもあるので、まだ確信は得られていませんが…実際やったことないし。
・刀の差し方
はやおきは今まで、刀の差し方を知らずに何となくで時代劇漫画を描いてきましたが、本日、ようやくマンガの描き方本にて刀の差し方を確認しました。
で、感想としまして、
・刀の、帯を挟んで前に出る部分は意外と長い(考えてみたら、刀の後ろの部分ばっかり長く差していたら、重くて大変そう)
・帯に挟んで点で支えるのではなく、帯にかかる部分を多く取って、腰の側面で支えるイメージ
という感じです。
・縞模様の袖
かねてより縞模様の袖を、どうも上手く描けないなーと思っていたのですが、幕末・明治時代あたりの写真集を見ながら20分くらい学習したところ、何となく分かりました結果です。…が、自分以外が見ても解らないくないか…。
「ペラペラした布で出来た四角い袖だ!」と思うことがコツです。
・瓦屋根
時代劇に欠かせない、瓦屋根の構造です。
数年前撮影した写真から割り出した図解なので、完全に正確とは言えませんが、瓦屋根を描く時の基準にはできそうです。
屋根と壁の継ぎ目に自信がないときは、黒く影を塗って誤魔化しましょう。
・日本髪
幕末・明治時代の写真を見て描いてはいるものの、構造はまったく分かっちゃいなかったので、描き方本も見て勉強しました。とはいえ、細部はやっぱり分からんなぁ…。
今回分かったのは、お団子部分の処理です。
・羽織の紐の結び方
幕末・明治時代の写真を見るに、羽織の紐は、蝶結びではありません。2本の紐をひとまとめにして、輪をつくって結んでいます。
荷紐で実際結んでみましたが、白くて全然分からないので、線画も描きました。はやおきが左利きのため、結び目が通常と違っているかもしれません。
・袴
意外にも、1500ページも時代劇漫画を描いておいて、1回もちゃんと調べなかった袴の構造。だって難しそうなんだもの。とはいえ、清書するのに知らないままでは困るので、この度調べました。
まずは幕末・明治時代の写真から、当時の袴をスケッチ。それから着物の描き方本で、構造を確認しました。
袴ってスカートみたいな形で中に区切りがあると思ってたんですが、ズボンみたいに二股に分かれてるんですね。で、フロントには5つのヒダがある。そんで、動かすとシワが伸びて…あとは図にした通りです。
3枚目は、それらを踏まえて描いたものです。それっぽくなったでしょう?
袴には両サイドにスリットがあって(そこは知ってるので詳しく図解してないですが…)、ポケットみたいに手を入れてる人も、資料写真の中に何人かいました。
・馬
『夢酔独言』で馬と言えば、小吉の好きな動物であり乗り物。八話目でメインで登場するのですが、その時はいい感じに描けず不満でした。
一話目の冒頭にもちょっと登場するしということで、骨格とか筋肉とか馬具の具合を調べました…が、一話目には足元と3センチぐらいの全身図とお尻と首しか映らない…まぁいいか…。
馬具の詳細は結構あやふやです。のめり込んでずっと調べてたので、これ以上馬具に頭を使ったら、脳みそがバグりそうだったので。
浮世絵とかでは、現代のサラブレッドと同じようにスラっと描かれていますが、実際は小さくてずんぐりとした体形だったようです。
↑こちらは勉強したのを踏まえて描いた絵です。右側は、2ヶ月前に描いたもの。
・米屋
小吉が一度目の家出で病気から回復した後、府中で寄った米屋さんの米搗きマシーンです。
ネームでは杵と臼を使ってるんですが、ちょっと調べてみると、江戸時代後期には、図のような米搗き装置を使っていたようです。調べてみるものですね…と思いましたが、漫画ではスペースの都合で、手すりしか出てきません。だって店の奥にあるから…。
あと、米搗き装置の上あたりにミニハンモックが設置されていて、米の虫を食べるニワトリ用のベッドなのですが、それも出てきません。天井に吊ってあるもんで…。