『夢酔独言』 十八話 行き倒れる
龍太夫のくだりで知り合った男と別れ、四日市へ来た小吉。白子の浜で寝た夜に、頭痛がして、病気になってしまいます。道ばたに倒れて、水を飲んで飢えをしのぐ小吉。このままでは、助からないぞ。
小吉が5月28日に家を出て、半月ほど経っていると推測されます。旧暦6月は夏の盛り。
…白子の松原へ寝たばんにづゝうが強くして、ねつが出てくるしみしが、翌日には何事もしらずして松原に寝ていたが、二日ばかり立ちて(経って)漸々(ようよう)人心地が出て、往来の人に壱文づゝ貰ひ、そこに倒れて七日斗り(ばかり)水を呑で、よふゝゝに腹をこやしいたが、(中略)ぶらゝゝして日をおくつたが、二十三日めごろから足が立つたゆへ、大きにうれしく、竹きれを杖にして少しづゝ歩行た。
小吉の旅も、いよいよハードになってきました。このあと松原を発つのですが、歩く距離は一日約4㎞。初日に江戸から藤沢まで歩いていたころと、だいぶ違います。
十九話に続きます。