『夢酔独言』 十九話 上方はいかぬところ
病気から回復した小吉は、またまた府中まで戻ります。施行(ほどこし)を二度取りして殴られたり、かと思えば、遊郭の客に食べ物をもらったり。
そんな小吉の前に、上方行きを止めるよう言う人物が現れます。
あいかわらず、殴られたかと思ったら、物をくれたりします。やっちゃいけないことをしなければいいのに、小吉はなかなか学びません。
…伝馬町といふ処の米屋で、ちいさい小皿にひきわりを入れて施行に店へ並べておくから、一つとつたが、一つのさらに銭が壱文あるからそつと又壱つ取つた。そふすると、米をつゐていた男が、見付おつて、腹を立て、「二度とりをしおる」とてにぎりこぶしで、おれをしたゝたかぶちおつたが、病後故道ばたに倒れた。
十九話に続きます。