マンガで読める『夢酔独言』

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勝海舟の父親・勝小吉の自伝『夢酔独言』がマンガで読めるブログです。

『小吉の女房』第3話「お信の書き置き」 感想・『夢酔独言』的解説

 

『小吉の女房』第3話「お信の書き置き」 感想・『夢酔独言』的解説

 

 

 

 ドラマ『小吉の女房』も、第3話を迎えましたね。毎週、「無職の夫はいいから沢口靖子さんを見せろ!」という方も多いのではないでしょうか。

 この記事では、ドラマのあらすじ・感想とともに、原案にもなった勝小吉(実際のお信の夫・勝海舟の父親)の自伝『夢酔独言』目線で、『小吉の女房』を解説します。

 

 

 

 

 

 

 

・あらすじ

 

 

刀剣の目利きの仕事を始めた小吉(古田新太)は、ひょんなことから同じ貧乏旗本の女房・お雪(酒井美紀)と知り合う。悪徳な役人や商人の奸計に陥り、身を売る寸前のお雪に同情した小吉は、「自分がお雪を引き取りたい」と、なんと女房のお信(沢口靖子)に相談する。お信は「ならば自分が必ず、お雪さんを貰い受けて来ます」と宣言して、ひとりで出かけていくが…。

※公式サイトより引用

 

 

 

・感想

 

 

 「家内安全、無病息災」は毎回やるらしい

 

 巾着切りの銀次がレギュラー化!?小吉の使いっ走りに

 

 やたら石原おこしとタクアン推し(ナメクジが出てこなかった…)

 

 お信(沢口靖子さん)が相変わらずファンシーで可愛い

 

 

 

・『夢酔独言』的解説

 

 

 第3話は、文政三年(西暦1829)晩秋。麟太郎(福富慶士郎さん)江戸城に召し抱えられた後の勝家から始まります。小吉は28歳、信26歳、麟太郎7歳です。

 「麟太郎はお城でも納豆を食べているのかしら?でも高貴なお方はこんな下賤なものは食べないかも…」などと言いながら納豆をかき回すお信。とってもどうでもいいくだりですが、かわいいのでOK。

 第2話で登場した巾着切り(スリ)の銀次がさらっと再登場。実在の人物なため行動が限られている勝家の皆さんの代わりに、便利に動いて話を回します。

 

 向島白鬚神社へお参りに行く、お信&お婆様(江波杏子さん)利平次(石倉三郎さん)向島は『夢酔独言』では一回か二回、ちらっと地名が出るくらいですが、中野碩翁(里見浩太朗さん)が居たらしいので、お信をお参りに同行させてニアミスを狙います。

 案の定お信と碩翁はお互い誰か判らないまま接触します。石原おこしについて熱弁するお信。かわいいぜ!

 お信が「千景流」という書をたしなんでいるというセリフがありましたが、これは資料に基づきます。また、勝海舟によるお信の墓に書かれた碑文には、「和歌を嗜み、書をよくし、」とあります。

 

 一方、小吉にくっついて歩いていた銀次は、どう見ても浅い川に身投げしようとする若い女を発見。「危なーい!」→駆けつける→自分がドボンという、8時代のドラマらしいコミカルなくだりを提供します。

 女の名はお雪。ある人物から「夫の御番入(ごばんいり、武士としての役職に就くこと)を世話する代わりに大金をよこせ!払えなきゃお雪を売り飛ばす!」と言われて困っていました。

 小吉はお雪に、「金が必要ならおれが良い値で刀を売ってやる、預り代もやる!」と1両を渡し、銀次に「この話、何か怪しいな…探ってこい!」と命じます。

 銀次が居なくなると、「勝様、私を連れて逃げてくださいまし」と小吉に迫るお雪。

 

 この一連のくだりは、マンガ『夢酔独言』では七十六話にあたります。

 

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 『夢酔独言』では、小吉はよその武家の妻に惚れて困った、と書いています。そんな小吉に、お信は「(そんなにあの女がいいんだったら)その女を貰ってやりましょう、でも相手も武士ですから、返事が悪いと私が死んででももらいますから」と、完全に刺し違えモードです。それに対して小吉は、「じゃあ頼む、死ぬんだったらそれ使って!」と短刀をお信に渡して外へ「遊びに(原文ママ)」行きます。だいぶクソ野郎です。御番入のことで困っているとかいう話は、一切ありません。

 

 ドラマでもお信が「私がもらいに行きます」とは言うものの、それは「旦那様が武士を相手に話がこじれて斬られたら困るから」。小吉の方も、「身売りになるかもしれないお雪さんが気の毒だから」が理由です。いい人か。

 

 お雪さんをもらいに行く行かないでお信と言い合いになった小吉は、道ばたで第2話登場の易者・関川讃岐「女難、剣難の相が出ている」と言われて慌てて家に帰りますが、これは『夢酔独言』と同じです。「女難の相」とか、少年ジャンプで読んで以来の単語です。

 家に帰ると、お信は、麟太郎や今朝漬けたタクアンのことを書き置きしていました。それを小吉が読んで「何だこりゃ!」となるのですが、実際の小吉なら、書き置きが読めたかどうか定かでありません。小吉は42歳で『夢酔独言』を書く時になっても、「おれは文字の難しいのは何にも読めぬ」と言っています。

 小吉のツッコミに、「あら本当、私、なんでタクアンのことなんか書いたのかしら」とほほ笑むお信。多少脈絡不明だが、かわいいから許す!

 

 なんやかんやあって、銀次の偵察のおかげでお雪さんをはめようとした人物も判り、刀を売ってお金も用意できて一件落着、となります。銀次、優秀過ぎ。

 小吉は今回刀の押し売り取り引きに成功したことをきっかけに、刀剣の売買を始めます。『夢酔独言』では、小吉の父・平蔵(平泉成さん)の生前から手をつけていたようです。

 

 小吉が28歳頃の面白エピソードとしては、死罪人の処刑を専任している山田浅右衛門という浪人に弟子入りして死体で刀の切れ味を試す、という話があります。

 

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・次回予告

 

 

 さて次回の『小吉の女房』は、第4話「麟太郎、三途の川から呼び戻される」です。

 BSプレミアムにて、2月1日(金)20時から放送!

 

第4話のあらすじはこちら↓

www.nhk.or.jp

 

 マンガ『夢酔独言』の該当箇所はこちら。

 

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 『小吉の女房』第4話放送まで、読んで予習しながら待つべし!

 小吉が唯一父親らしく、好感の持てるシリーズとなっています。