マンガで読める『夢酔独言』

マンガで読める『夢酔独言』

勝海舟の父親・勝小吉の自伝『夢酔独言』がマンガで読めるブログです。

『夢酔独言』 九十七話 雷門で侍を切る

『夢酔独言』 九十七話 雷門で侍を切る

 

 前回、息子・麟太郎の出世のため、素行を改めるよう甥っ子(男谷精一郎)から釘を刺された小吉。

 忠次郎に誘われ、浅草市へ出掛けます。混み合う中、侍にちょっかいを出され…。

 サブタイトルが不穏過ぎるが、予想を裏切ることができるのか!?

 

f:id:hayaoki6:20190111165121j:image

 


f:id:hayaoki6:20190111165251j:image
f:id:hayaoki6:20190111165201j:image
f:id:hayaoki6:20190111165117j:image
f:id:hayaoki6:20190111165157j:image
f:id:hayaoki6:20190111165154j:image
f:id:hayaoki6:20190111165150j:image
f:id:hayaoki6:20190111165125j:image
f:id:hayaoki6:20190111165128j:image
f:id:hayaoki6:20190111165204j:image

 

※浅草市といえば、冬の酉の市。…なんですが、このお話はムリヤリ隙間にねじ込んだため、春~夏ごろの設定となっております。

 

 小吉が友達とやって来たのは、浅草寺雷門。当時は「志ん橋」と書かれた提灯が奉納されていました。このお話から約30年後の慶応元年(1865)、雷門は大火によって焼失し、以後、昭和35年(1960)まで再建されませんでした。

 この「志ん橋」提灯は、現在は浅草寺本堂へ掛けられています。

 

  小吉は浅草界隈を遊び場としており、16歳の時には、男谷新太郎(後の精一郎)、忠次郎兄弟といっしょにわざわざケンカをしに浅草寺来ています。すっごいガラ悪いです。

 

 今回、男谷兄弟の弟・忠次郎と、多羅尾七郎三郎さんとその他数名で浅草市に来た小吉。娯楽の少ない江戸時代なので、レジャースポットのイベントに、皆さん群がります。その混みようたるや、刀を差して歩けないほど。小吉が侍だからって、誰も道をゆずってくれません。

 

…急に七郎三郎がさそった故、はかまをはかずにいったから、雷門の内で込合(こみあう)故に、刀がまたぐらへはいて(入って)あるかれなかったが、押しやってゆくと、侍が多羅尾のあたまをさんしょのすりこぎでぶったから、おれが押されながら、そいつの羽織をおさえたらば、摺木(すりこぎ)で又おれの肩をぶちおった故、刀を抜こうとしたら、… 

 ※原作より現代仮名遣いで引用

 

 小吉はいつも素行が悪いですが、いきなり後ろから人の頭を殴るとか、通りすがりの侍Aさんもたいがいです。そしてフツーに刀に手を掛ける小吉。

 

…「片はしから切り倒す」と大声上げたらば、通りの物がばっと散ったから、抜打(ぬきうち)に其男のにげる処をあびせたらば、間合が遠くって、切先で背筋を下まで切下げたから、帯がきれて大小も懐中物も不残(のこらず)おとしてにげたが、そうすると伝法院の辻番から棒を持って壱人出たから、二、三べん刀をふり廻してやったら、往来の者が半町ばかり散ったから、大小と鼻紙入をひろいて辻番の内へなげこんだ。

 

 マンガでは省略されていますが、辻番さんが出て来てから、小吉は2、3回刀を振り回したと原作にはあります。辻番は現代でいう交番のお巡りさんですが、全然役に立ってません。というか、よく逮捕されなかったな小吉…。

 小吉はこの時のことを、「切先が一寸余もかかったと思った。大勢の込合場はなが刀も善し悪しだとおもった」と書いています。「コンディションが良かったら、ホントに切ってたかも」と言っているようにしか聞こえません。

 

 ちなみに「大小」とは二本差しの侍が差している2本の刀、「懐中物」とは財布とか、鼻紙入れ(ポケットティッシュ)のことです。

 

 さて、精一郎さんからの言いつけを1話も持たずやぶった小吉。このままで済むはずがありません。

 

※小吉のフォローをすると、今回のエピソードは年代がわからないので、もっと若い頃の出来事だったかもしれません。でも人切り、ダメ、絶対。

 

 

 

 九十八話「二度と生きては帰るまい」に続きます。ある夏の夜、お兄ちゃんの家に呼び出される小吉。行ってみると、みんな泣いている…。

 

musuidokugen.hatenablog.com

 

 

 

 

にほんブログ村 漫画ブログ 歴史漫画へ
にほんブログ村