はやおきが手持ちの江戸時代の絵本に、『童謠妙々車(わらべうたみょうみょうくるま)』というシリーズ本があります。
はやおきは江戸時代の印刷物を見るのはこれが初めてで、幸いにとても作画クオリティの高い作品なので、気に入っています。
ちなみに、内容は全然分かりません。読めないので…。
今回は、手元にある『妙々車』シリーズの、表紙裏の口絵を紹介します。毎回「車」にちなんだ絵が描かれていて、その創意工夫さにスゲーと思います。
※巻ごとに「◯編◯集」の表記がバラバラですが、そーゆうところも好きです。たまに読めなかったりするので、ここでは「◯編上下」で統一します。
・初集上下
雪に糸巻き車(上)と、流水に水車(下)です。
よく似た題材にしつつ、構図は対照になっていてオシャレ。
枠線は糸をモチーフにしたようです。
初編なのでか、線が非常に繊細です。
・三編上
井戸の滑車。
枠に引っ掛けてるみたいにしてあります。
縄は、隣のページの枠になっています。
・三編下
鳩車という玩具です。かわいい。
・四編上
文庫。
紙吹雪みたいな部分は、しっかり版が押されていて、少し凹んでいます。
字が流れるように優美です。
・四編下
まさかの「車」という字を絵にしたもの。
そのセンスの良さにクラクラします(個人の感想です)。
背景は秋草。
・五編上下
シンプルに、車輪を青海波(せいがいは)のように並べたもの。
お菓子のパッケージみたいです。
・六編上下
上巻は風車風の紋、下巻はラフな流水と車輪です。
・七編上
鞠(まり)。
糸に沿って版が強く押されており、ミゾになっています。
手前はその中身。銭に和紙を折ったものを通して芯にして、綿を巻きつけるのです。
・七編下
詳しく知らないのですが、多分、こういう場所があったのでしょう。
提灯があって、菊車の付いた柱があって、煙が立っています。お寺かな。
提灯のヒダヒダが、ミゾで表現されています。
※調べたら、「後生車」といって、回すと供養になる装置があるそうで、それに近いもののようです。
・八編上
これはどういうものなのか…壁に車輪が生えていて、蔦が巻きついている。
インテリアかな。
・八編下
手拭いっぽい模様。
真ん中は余白に見えて、淡墨で蔦が描かれています。上巻とのつながりを表しているのかも。
・九編上
壁ぎわに荷車が停めてあって、落書きという体裁で、タイトルやらが書いてあります。
相合傘の「春馬」と「国貞」は、作者と絵師です。
・九編下
「妙々車(車部分は車輪の絵)」と書いた手拭いを干してあるの図。裏面は色が薄くなって、字も反転しているのが凝っています。
右下に白抜きで富士山が描いてあって、神田紺屋町の風景だと判ります。こーゆう、簡潔な材料で匂わせるのはシビれます。
※中央のは、元の持ち主の書き込みです。
・十編上下
上巻はステンシル(転写)キット越しの布あるいは紙になっていて、うっすらですが、車輪の模様が向こう側に写っています。
下巻ではその後、いっぱい転写しました、という絵です。ただの模様に見せかけて、右上に布または紙の境目が見えていて、上巻の続きだと判るようになっています。
・十一編上
着物の模様で、御所車。
字は何て書いてあるのかな…。
・十一編下
三つ車輪模様の幕に、木馬。
この木馬は、マンガ『夢酔独言』八話にも登場しました。
・十二編上
車に、蛙と貝。
この車は、福引きに使うやつに見えるけども、何なんだろう。
・十二編下
着物の模様が、槌車(つちぐるま。柄杓付き水車をデフォルメした模様で、実在はしない)です。
着物の柄が派手だったり、そばに置いてある刀の鍔が四角になっていますが、もしかしたら、舞台衣装と小道具なのかもしれません(歌舞伎の『暫(しばらく)』では、四角鍔の刀が登場する)。
・十三編上下
この謎の装置、竜骨車(りゅうこつしゃ)といって、田んぼに水を汲み上げる道具だそうです。
背景に流水が描かれていて、水に関係するものだと匂わせています。
・十四編上下
車輪青海波に霞。