『夢酔独言』 七十七話 利平の死
小吉が7歳で勝家に養子に入る前、男谷の家の用人を務めていた利平次。
隠居して親類の元へ帰りましたが、退職金を残らず取られ、再び男谷家へ。そこでも邪魔にされていた利平を、小吉は引き受けます。しかし、勝家にも、利平を養う余裕はなく…。
このエピソードは、小吉が5歳の時の凧喧嘩の話に続いて書かれています。
小吉が勝家に養子に行ったと言っても、勝家の人間は許嫁の信(のぶ)と婆様だけで、実態は男谷で二人の面倒を見るかたちになっていました。24歳で、よそに家を建てるまで、小吉はそのまま男谷の家で暮らし続けました。
利平さんが登場するお話はこちら。
今回のお話は、流れはおおむね原作通りです。
こんなお年寄りにお寺巡りをさせるとは…とちょっと首をかしげたくなるんですが、この場合、自分の家で養えないので、旅の中に老人を捨てることを意味します。
利平さんはボケてしまって事態を理解していないのか、それとも理解して受け入れているのか、どっちとも取れます。
私はおじいちゃん子だったもので、おじいちゃんて孫に対してこんなだよなあ…と思いながら描きました。孫としては、おじいちゃんを満足させきれなかった後悔というのが残るものです。
七十八話「四文の銭も無い」に続きます。