『夢酔独言』 二十三話 またまた逃亡
江戸から上方(かみがた)を目指して家出した14歳の小吉。家出から約4ヶ月、小吉は小田原の漁師の家で住み込みをしていましたが、ついに江戸へ帰る決心をします。しかしそこは江戸時代、自分の足で歩いて帰るしかない。
…娘へきげんをとり、引(ひき=股引のこと)ときものゝつぎだらけなを一つ貰ひて、閏八月の二日、銭三百文戸棚にあるをぬすんで、飯を沢山弁当へつめて、「浜へゆく」といつて、夜八つ(午前2時)時分起きて喜平が内をにげ出して、…
さんざん世話になっても、逃げる時には容赦ないのが小吉の手口です。
この漁師の喜平さん、のちのちまた登場します。お楽しみに。
二十四話に続きます。