『夢酔独言』 二十四話 家に帰る
漁師の家を逃げ出し、高輪にあった船の中で寝た小吉。地元の人に叱られ高輪を出て、 愛宕山、両国橋、回向院と、江戸をさまよいます。
回向院で、物乞いの頭に「仲間へ入れ」と言われる小吉。どうする…?
漁師の家を出てからの小吉、怒涛の移動です(『夢酔独言』と『平子龍先生遺事』のエピソードをまぜています)。
・閏8月2日朝2時、小田原の喜平の家をでる
→酒匂川(『平子龍先生遺事』にのみ登場するくだりです)を越す
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・翌晩、江戸・鈴が森で野犬に囲まれる
→高輪の漁師町にあった海苔取り船をひっくり返して中で寝る
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・翌日、寝過ごして地元の人に叱られる
→愛宕山へ行き、一日寝る
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・三日間人目を忍んで移動(当時描いた漫画にはずっ愛宕山に居たように書きましたが、移動していたかもしれません)
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・逃亡5日目、夜に両国橋
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・6日目、回向院に何日か滞在
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・亀沢町まで戻るも、引き返して材木問屋の河岸で寝る
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・さらに3日後、家へ帰る
『夢酔独言』では朝帰ったことになっており、『平子龍先生遺事』では夜中帰ったことになっています。また、『平子龍先生遺事』には、閏8月19日に帰った、とあります。
ちなみにこの「閏八月」は実際には無かったようで、小吉の記憶違いか、はたまた「この物語はフィクションです」という意味だ、という説もあります。
私は徳島県民なのでピンとこないのですが、東京の人とかは、よく知った地名を小吉が通ったことに、思いを馳せられるんではないでしょうか。
このくだりは原作通りです。↓
回向院の奥の墓場にこじきの頭(かしら)があるが、おれに、「仲間へはゐれ」とぬかしおつたから、そやつの所へいつて、したゝかめしを食ひたおして、夫(それ)から亀沢町へきて見たが、…
二十五話へ続きます。