『夢酔独言』 六十六話 祈禱師に弟子入り
柳島妙見の帰り、友達の家で殿村南平という怪しい男と知り合った小吉。小吉の信仰対象や死霊について言い当てる南平に、すっかり感心する。小吉は御番入(役職をもらうこと)の祈祷もする南平に弟子入りをし、金をつぎ込んで加持・祈祷・修行のやり方を教えてもらう。
ある時小吉は、南平が富くじの当籤番号を当てる「寄せ加持」をしている現場に居合わせ、「これぐらいならおれにも出来る」と言い出す。
さすが江戸時代、生活の中にさらっと祈祷師が出てきます。
※「座敷で護摩焚いたらあぶねーわ!」というツッコミは、ごもっともです。
…奇妙のことを種々はなすから、能(よく)聞いたら、両部の真言をするといふから、面白ひ人だとおもつていたら、橋本が親類の病人のことを聞いたら、「夫(それ)は死霊がたゝる」といゝおる故、其訳を聞いたら、「其死霊の者は男だ」とつて、年恰好、其時の死(しに)よふまでつぶさに見たよふにいふから、橋本に聞たら、其通りだといふから、大きに恐れて、「弟子になりたい」と頼だら、…
ちなみにここに出てくる橋本さんは、小吉の友達で、吉田兵庫の話(五十八~六十話)にも登場します。
こうして南平さんの弟子になった小吉。御番入(就職)が決まるよう祈ってもらい、いろんな祈祷のやり方を教わります。
そして富くじの当選番号を当てる祈祷という、俗っぽいんだかありがたいんだかわからない催しに遭遇。小吉はいよいよ、習った神通力を発揮するのか!?
六十七話に続きます。