『夢酔独言』 三十五話 湯屋の株
無職の小吉の手元に、40両もの大金があるのはなぜか。
これより本所・浅草であちこちの世話をして、界隈の顔役になっていく小吉ですが、その最初のエピソードです。
夏を想定して描いたので、小吉夫婦は浴衣を着ています。
前半のお風呂屋さんのくだりが原作どおりで、後半は創作です。
株仲間については、何となくの理解で大丈夫です。私も何となくしか理解していません。
最後に出てきた高屋彦四郎さんは、『夢酔独言』には登場しませんが、息子・勝海舟のインタビュー本『氷川清話』で、父親と親しかった、とあるので、登場させています。
種彦は、二百俵の旗本で、高屋彦四郎といつて、漢学も和学もよく出来た。(中略)おれの親父(小吉)とは、懇意であつたから、折々は遊びに来て、おれを捕まへては、あなた本が好きなら私の宅へ来て御覧、いろゝゝ小説の考証もあるなどいつたり、また、あなた暇なら小説でも書いたらどうだなどいつて、小説の秘書のやうなものを貸したりした。
代表作は『偽(正しい漢字が出てこない…)紫田舎源氏』。本が売れたお金で、浅草にお屋敷を建てていたとか。
三十六話に続きます。