和柄コレクション 宝尽くし
おめでたい和柄といえば、「宝尽くし」。さまざまな縁起物を詰め込んだ模様です。
江戸~大正時代の型染サンプルと消しゴムはんこ、それぞれの宝物の解説付き。
・地白型染木綿、宝尽くし
江戸~明治時代初期の型染木綿です。
宝尽くしのうち、左から宝袋、七宝、丁子、分銅です。
・型染木綿、宝尽くし
上から分銅、巻き物、丁子、隠れ笠、小槌、宝袋、隠れ蓑、七宝、宝珠の宝尽くしフルコースです。
・更紗、宝尽くし
白抜きになった部分に、花を中心にして時計回りに右から、隠れ笠、隠れ蓑、巻き物、丁子です。全部にヒモが付いていて、統一感が出ています。色付きの方には、めちゃめちゃ小さくて分かりにくいんですが、巻き物、丁子、分銅、隠れ笠、宝珠があります。白地と色地をつないでいるのが七宝です。
・小紋、宝尽くし
一個の模様は、5ミリほどの大きさです。
小槌、七宝、分銅、宝珠、巻き物、丁子、隠れ蓑、隠れ笠が確認できます。引いた画像の方が、よく見えるかも。
・消しゴムはんこ、宝尽くし散らし
小槌、丁子、七宝、分銅に枡です。色味重視の模様。
・消しゴムはんこ、隠れ蓑中心の宝尽くし
隠れ蓑に、宝鑰、丁子、分銅、七宝、巻き物、宝珠をまとわせてあります。
・消しゴムはんこ、宝珠に熨斗(ほうじゅにのし)
原案はこんにゃく印判です。元ネタは江戸時代中期の蕎麦猪口。現物を手に入れようとすると、はやおきの2ヶ月分の給料がとびます。
・消しゴムはんこ、熨斗
これは給料一ヶ月分。例えがヒドい。
でも、このこんにゃく印判の、和のモチーフでありながら、どこのお国柄ともつかぬ、いつの時代ともつかぬシンプルかつ普遍的なデザインが、素晴らしいのです。
・消しゴムはんこ、破れ熨斗
これは筒描き(布に糊で図案を描き、その部分を白抜きにした染の技法)によく見られる図案です。この熨斗は折れて破れていますが、そのさますら模様化しています。
・消しゴムはんこ、七宝に分銅と巻き物
これは浮世絵に登場する着物から再現したもの。宝尽くしのサブ達を集めて、モダンな市松模様にしています。
・縁起物と意味
「宝尽くし」に使われる宝物と、その意味です。向かって左側から右にかけて、簡略化した図を描きました。皆様の手近にあるもので、「これは何の模様だろう?」というとき、ご参考ください。
①隠れ蓑
災いから身を隠してくれる縁起ものです。本格的なものになると、鳳凰の首だけがくるんとなっていたり、鷹や、蝶をモチーフにした隠れ蓑もあります。くるくるにウロコもしくはフサフサが、隠れ蓑の特徴です。
②隠れ笠
隠れ蓑と同じく、災いから身を隠してくれます。平安時代チックなタイプが本格仕様。簡略化されるとUFOみたいに見えるのは、耳にかける紐のせいです。
③小槌
ご存知打ち出の小槌です。振ると色んな宝物が出てきます。
④巻き物
知恵を授ける巻き物。十字にしたり、●を置いて米の字みたいにするパターンもあります。
⑤分銅
お金の重さをはかる分銅です。また、薬の重さを量るのにも使われたことから、お医者さんの象徴でもありました。真ん中がくびれているのが共通点で、両端が花びらみたいになっているタイプもあります。
⑥七宝
仏教における宝「金、銀、瑪瑙、瑠璃、玻璃、硨磲、珊瑚」をあらわします。四つの円をつなげて、どこまでも増やせる和柄です。真ん中に花菱を入れたタイプも多し。
⑦丁子
薬や香料として親しまれた香辛料、クローブのこと。元ネタの植物から、ずいぶんアレンジされたデザインになってます。一つだと寂しいのか、二つ抱き合わせになっているタイプもあります。
⑧宝珠
先がとがって炎が出ている、仏教で言う「如意宝珠」です。すごい力を秘めていて、何でも願いを叶えてくれます。しかも一個で!お稲荷さんで、キツネが持ってたりします。
⑨宝袋
宝物やお金がいっぱい入った袋です。
⑩宝鑰
宝の蔵の扉を開ける鍵。たいていこの形です。
⑪熨斗
おまけ。宝珠と組み合わさった図案があったので入れましたが、「宝尽くし」で出てくることはほぼありません。単体で主役になります。元ネタは「熨斗アワビ」ですが、和柄になっている熨斗は、どうやら紙製のようです。
⑫その他
「宝尽くし」と組み合わされる可能性のあるモチーフです。とはいえ和柄は基本みんなおめでたいので、どの模様でも、宝尽くしと組み合わせられるポテンシャルがあります。
扇、枡、甕(かめ)、盃、松竹梅、小判、橘、珊瑚、鶴亀、瓢箪、福寿の字、海老、鯛、雲、米俵など。