マンガで読める『夢酔独言』

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勝海舟の父親・勝小吉の自伝『夢酔独言』がマンガで読めるブログです。

和柄コレクション 宝尽くし

和柄コレクション 宝尽くし

 

 おめでたい和柄といえば、「宝尽くし」。さまざまな縁起物を詰め込んだ模様です。

 江戸~大正時代の型染サンプルと消しゴムはんこ、それぞれの宝物の解説付き。

 

 

 

・地白型染木綿、宝尽くしf:id:hayaoki6:20190101192621j:image

 

 江戸~明治時代初期の型染木綿です。

 宝尽くしのうち、左から宝袋、七宝、丁子、分銅です。

 

 

・型染木綿、宝尽くし
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 上から分銅、巻き物、丁子、隠れ笠、小槌、宝袋、隠れ蓑、七宝、宝珠の宝尽くしフルコースです。

 

・更紗、宝尽くし
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 白抜きになった部分に、花を中心にして時計回りに右から、隠れ笠、隠れ蓑、巻き物、丁子です。全部にヒモが付いていて、統一感が出ています。色付きの方には、めちゃめちゃ小さくて分かりにくいんですが、巻き物、丁子、分銅、隠れ笠、宝珠があります。白地と色地をつないでいるのが七宝です。

 

小紋、宝尽くし
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 一個の模様は、5ミリほどの大きさです。

小槌、七宝、分銅、宝珠、巻き物、丁子、隠れ蓑、隠れ笠が確認できます。引いた画像の方が、よく見えるかも。

 

消しゴムはんこ、宝尽くし散らし
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 小槌、丁子、七宝、分銅に枡です。色味重視の模様。

 

消しゴムはんこ、隠れ蓑中心の宝尽くしf:id:hayaoki6:20190101192618j:image

 

 隠れ蓑に、宝鑰、丁子、分銅、七宝、巻き物、宝珠をまとわせてあります。

 

消しゴムはんこ、宝珠に熨斗(ほうじゅにのし)
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 原案はこんにゃく印判です。元ネタは江戸時代中期の蕎麦猪口。現物を手に入れようとすると、はやおきの2ヶ月分の給料がとびます。

 

消しゴムはんこ、熨斗
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 これは給料一ヶ月分。例えがヒドい。

 でも、このこんにゃく印判の、和のモチーフでありながら、どこのお国柄ともつかぬ、いつの時代ともつかぬシンプルかつ普遍的なデザインが、素晴らしいのです。

 

消しゴムはんこ、破れ熨斗f:id:hayaoki6:20190101192610j:image

 

 これは筒描き(布に糊で図案を描き、その部分を白抜きにした染の技法)によく見られる図案です。この熨斗は折れて破れていますが、そのさますら模様化しています。

 

 

消しゴムはんこ、七宝に分銅と巻き物
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 これは浮世絵に登場する着物から再現したもの。宝尽くしのサブ達を集めて、モダンな市松模様にしています。

 

 

 

 

 

 

 

・縁起物と意味

 

 

 「宝尽くし」に使われる宝物と、その意味です。向かって左側から右にかけて、簡略化した図を描きました。皆様の手近にあるもので、「これは何の模様だろう?」というとき、ご参考ください。

 

①隠れ蓑

 

 災いから身を隠してくれる縁起ものです。本格的なものになると、鳳凰の首だけがくるんとなっていたり、鷹や、蝶をモチーフにした隠れ蓑もあります。くるくるにウロコもしくはフサフサが、隠れ蓑の特徴です。

 

②隠れ笠

 

 隠れ蓑と同じく、災いから身を隠してくれます。平安時代チックなタイプが本格仕様。簡略化されるとUFOみたいに見えるのは、耳にかける紐のせいです。

 

③小槌

 

 ご存知打ち出の小槌です。振ると色んな宝物が出てきます。

 

④巻き物

 

 知恵を授ける巻き物。十字にしたり、●を置いて米の字みたいにするパターンもあります。

 

⑤分銅

 

お金の重さをはかる分銅です。また、薬の重さを量るのにも使われたことから、お医者さんの象徴でもありました。真ん中がくびれているのが共通点で、両端が花びらみたいになっているタイプもあります。

 

⑥七宝

 

仏教における宝「金、銀、瑪瑙、瑠璃、玻璃、硨磲、珊瑚」をあらわします。四つの円をつなげて、どこまでも増やせる和柄です。真ん中に花菱を入れたタイプも多し。

 

⑦丁子

 

 薬や香料として親しまれた香辛料、クローブのこと。元ネタの植物から、ずいぶんアレンジされたデザインになってます。一つだと寂しいのか、二つ抱き合わせになっているタイプもあります。

 

⑧宝珠

 

先がとがって炎が出ている、仏教で言う「如意宝珠」です。すごい力を秘めていて、何でも願いを叶えてくれます。しかも一個で!お稲荷さんで、キツネが持ってたりします。

 

⑨宝袋

 

 宝物やお金がいっぱい入った袋です。

 

⑩宝鑰

 

  宝の蔵の扉を開ける鍵。たいていこの形です。

 

⑪熨斗

 

 おまけ。宝珠と組み合わさった図案があったので入れましたが、「宝尽くし」で出てくることはほぼありません。単体で主役になります。元ネタは「熨斗アワビ」ですが、和柄になっている熨斗は、どうやら紙製のようです。

 

⑫その他

 

 「宝尽くし」と組み合わされる可能性のあるモチーフです。とはいえ和柄は基本みんなおめでたいので、どの模様でも、宝尽くしと組み合わせられるポテンシャルがあります。

 扇、枡、甕(かめ)、盃、松竹梅、小判、橘、珊瑚、鶴亀、瓢箪、福寿の字、海老、鯛、雲、米俵など。

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