和柄コレクション 道具①
現代ではあまり見かけませんが、着物が普段着として着られていた時代には、模様のジャンルとして、道具模様がありました。それぞれ吉祥の意味があったり、季節を表す記号として使われました。
今回は、昔私が消しゴムはんこで刷った模様を10個、道具模様の中から、生活道具をピックアップしてご紹介します。前置きとはあんまり関係ない、デザイン重視の模様です。
※目次に変なスペースがあると思いますが、どうしてそうなっているかわからない&直すに手間が大変なので、見て見ぬふりをしてお楽しみください。
・釘つなぎ
クギはシンプルながらカッコいい形。いっぱいまとめて置いてると、クギ同士でくっついたりしますよね。
・眼鏡
紐をつけて使う、江戸時代型の眼鏡です。グレーの地にレンズ部分を白抜きしてあるんですが、分かりにくい…。
・自在鉤、恵比寿と大黒
自在鉤とは、囲炉裏の上から吊るして、お鍋とかをひっかけるための道具です。自在鉤の一種に「恵比寿」と「大黒」というのがあるんですが、「恵比寿」は恵比寿様の持っている釣り針、「大黒」は大黒帽に似ているので、そう呼ばれています。本来どういう意味合いかは不明なんですが、限界までデフォルメされた素敵デザインになっています。※拡大して見たら端がめちゃめちゃ見切れてるけど、気にしない。
・毛抜き
カンペキ形重視の模様です。毛抜きっていうだけで、ユーモラスになるから素敵。あの大岡越前さんも愛用していたとか。
・大名時計
ベージュと黒の組み合わせは何でもカッコよくなる。それはさておき、江戸時代の大名時計をデザインした模様です。
・大根おろし
大根おろしと、大根です。大根おろしは形がビシッとしてるから、ただ並べるだけでもカッコよさそう。
・銭つなぎ
紐に通した穴あき銭を、ただ並べただけ。遠目から見ると幾何学模様だけど、近くで見たらお金なんですよ柄。
・鍵尽くし
昔の鍵のデザインが好きです。武器とおんなじ素材(鉄)で出来ているのもロマン。ランダムにタテタテヨコヨコに並べると、電子回路みたいでカッコいい。
・鍵穴
こちらは鍵穴。上に同じ。
・杵(きね)
これは 多分、浮世絵の着物に使われていた模様。茶色地に水色と白抜きで杵模様。もちろん水色や白の杵なんてありませんが、そこが発想の柔軟さです。
ふと思い立って道具模様をやろうと思ったんですが、手持ちにいっぱいあり過ぎたので、今回は以上の10個です。
消しゴムはんこはかれこれ10年ぐらい前に、自分好みの和柄を、主に浮世絵から再現しようと思ってやっていたもので、出典やらの記憶があいまいになっています。
現在では扇とか鞠(まり)とか、華やかで女性らしい模様が道具模様では主流になっていますが、江戸時代にはうちわ、イカリ、縄などの力強くユーモアのある模様が好まれ、明治時代にはこうもり傘など、文明開化チックなものが取り入れられます。
今ならスマホを市松模様風に並べたり、ビル群、道路標識とかを着物の柄にして着て歩いたら、カッチョイイと思います。洋風の柄だからって、和服にしちゃいかんことはありません。生活に密着した、立派な日本の模様です。
道具シリーズは、あと2回くらいは出来そうです。お楽しみに。