マンガで読める『夢酔独言』

マンガで読める『夢酔独言』

勝海舟の父親・勝小吉の自伝『夢酔独言』がマンガで読めるブログです。

『小吉の女房2』 第三回「お信と白鬚様の庭」感想&『夢酔独言』的解説

土曜時代ドラマ『小吉の女房二2』の地上波放送が始まったので、BS放送当時に描いた感想&『夢酔独言』的解説記事を公開し直します。内容は変わってないよ!ネタバレがおおいにあるので、ドラマを観た後で読んでくださいね。

 第三回「お信と白鬚様の庭」は、1月22日土曜日18:05~、NHK総合にて放送です!

 

 

 

勝海舟の父・小吉お信を主人公にしたドラマ『小吉の女房2』。この記事では、『小吉の女房2』の感想と、ドラマの『夢酔独言』および勝小吉、あるは勝海舟に関わる部分の解説をお送りします。

 なお、ドラマ終了後すぐさま記事を作成しているので、劇中のセリフ等はおおむねうろ覚えです。

ネタバレあり。

 

 

 

 

 

 

・第三回「お信と白鬚様の庭」あらすじ

 

 

お信(沢口靖子)と小吉(古田新太)を影ながら見守ってきた幕府の実力者・中野碩翁(里見浩太朗)だったが、政争の果てに旗色が悪くなっていた。そんな頃、勝家では小吉が珍しく体調を壊し、お信は心を痛めていた。碩翁は町中でお信とばったり出会い、小吉の平癒祈願のお参りや、自宅の豪奢な庭の見物にお信を連れ回す。碩翁のことを「植木屋のご隠居」と思い込んでいる無邪気なお信の姿に、碩翁は心癒やされていく。

※NHKホームページより引用

 

 

 

・感想

 

・お信、発想がファンシー過ぎる

 

・石川太郎左衛門さんが意外とかわいかった

 

・ 虎の門への引っ越しのくだりは、思い出名場面集の効果もあってかしんみりしちゃう

 

 

 

・『夢酔独言』的解説

 

 天保十二年(西暦1841)本所お信沢口靖子さん)38歳小吉古田新太さん)40歳麟太郎鈴木福さん)17歳お順4歳です。

 

 冒頭、唐辛子売りから一味だか七味を買うお順。この唐辛子売り、大きな唐辛子のハリボテを持っていますが、これは当時実際にあったスタイルのようです。

 この唐辛子売り、三大「自分が時代劇を作る時ついつい出したくなる行商人」のひとつだったりします(あとの二つは、シャボン玉売りと冷や水売りです)。※はやおき調べ

 

  小吉は脚気(かっけ、江戸わずらいとも。脱穀した白米を主食とする江戸特有の病であったため)で、ほぼ寝たきり生活。ビタミンB1不足で起こる脚気には蕎麦がいいと、さっきお順が買って来た唐辛子をかけて蕎麦をいただきます。

 実際の小吉も早くから脚気をわずらっていて、症状が良くなったり悪化したりだったようですが、『夢酔独言』では、今の入江町に引っ越す前、29歳の時点で、脚気にて久しくわずらいていた故、あるくことができぬ」と書いています。また、ひどい時には、「身体がむくみて寝返りもできぬようになった」とあります。

 

 一方、島田虎之助さんの道場では、島田さんと麟太郎が剣術の稽古。稽古終了後、身体を拭くついでにアヘン戦争天保十一年、西暦1840~。清朝のアヘン禁輸措置からイギリスと清国との間に起こった戦争)などの時勢話をします。

 そんな国際情勢に、「私のなすべきことは何なのか…」と思い悩む青年・麟太郎。まるで将来外交を手掛けるかのような発言だ…!

 

  一方、落首(らくしゅ。風刺は批判の意をこめた戯歌)で「本荘の石は墓所でむだになり」とうたわれた中野碩翁里見浩太朗さん)さん。(その間に政治情勢の難しい話をしてたけどもそれは置いといて)散策に出掛けます。

 出掛けた先の三囲稲荷(みめくりいなり)の植木市で牡丹の鉢植えを吟味していたお信と出会い、牡丹をめちゃくちゃ値切って買ってから、二人でしばし「ぶらり本所の旅」を楽しみます。

 「牛の御前(うしのごぜん)」という、自分の体の不調部分を撫でるとご利益がある系の牛像をお参りするお信。小吉の脚気が治るようにと、膝を撫でます。めちゃくちゃ健気

 牛像を撫でると「モォ~」と声が。

 「鳴きましたね!」と目を輝かせるお信ですが、陰からいたずら小僧が登場し、走り去ります。「今の子は牛の御前様の使い…」とお信。解釈がファンシーかよ。ちなみにお信、今一緒に歩いている中野碩翁さんのことも、白鬚神社の精だと思っています

 

 それからお茶屋さんで桜餅を注文しますが…

お信「旦那様に持って帰ります」

碩翁「私は甘いものは苦手で…」

 何しに来たんだ。お信はめちゃくちゃ健気

 

 そこへ追っ手家来がやって来て、幕府の偉い人だとバレそうになる碩翁さん、その場を立ち去ります。

 

 そんでもって自宅の庭園を案内、麝香ナデシコカーネーション)を紹介します。お信、碩翁さんを白鬚神社の精から、植木屋のご隠居ジョブチェンジさせます。

 

 

 

 今回二人が巡った名所は、はやおきは徳島県民だもんで初耳だったのですが、調べると手元の江戸切絵図に名前が載っていました。

f:id:hayaoki6:20210416221052j:image

 左手にあるのが三囲稲荷、右手にあるのが牛の御前です。中野碩翁さんゆかりの白鬚神社もありますね。

 

 

 

  お信が家で牡丹に水をあげていると、麟太郎が帰宅。先ほどの散策の一部始終を、麟太郎へ楽しげに語ります。

 それを聞いていた麟太郎、「世の中は大きく変わろうとしている。私は何をすればよいのかとかんがえていましたが…母上が笑って暮らせるかどうかを物差しにしようと思います」と言います。麟太郎、めちゃくちゃいい子。そして楽しげにしているだけで麟太郎に今後の物差しを決めさせちゃうお信がすごいぜ。

 

 

 

 ところが、そう和やかな日々は続きません。石川太郎左衛門高橋和也さん)が、小吉が無断で摂津まで行った件を蒸し返して、虎の門押し込め(屏居させて出入りを禁ずる刑罰)となってしまいます。『夢酔独言』では、小吉の身から出た錆みたいに書かれているので何とも思いませんでした(ドラマでは省かれていましたが、この頃の小吉はかなり本所で幅を利かせていて、何もしなくても盆暮五節句にあっちこっちから上納金みたいなのが懐に入る状態だったのです。そりゃ取り締まられるわ…)が、『小吉の女房2』では、石川太郎左衛門のたくらみのせいで長年慣れ親しんだ本所から離れるというのを、シーズン1からの振り返り名場面集とともに見せられたので、しんみりしてしまいました。

 

 

 

f:id:hayaoki6:20210416225208j:image

    漫画だとこのへんです。

 

 

 

 虎の門へ押し込めの話は、『氷川清話』勝海舟が語っています。

 かつて親父が、水野(忠邦の天保の改革)のために罰せられて、同役の者へ御預けになった時には、おれの家をわずか四両二分(約40万円)に売り払ったよ。それでも道具屋は、殿様だからこれだけに買うのだなどと、恩がましく言ったが、ずいぶんひどいではないか。その同役の家というのは、たった二間だったが、その狭いところで同居したこともあったよ。

※『氷川清話』より、はやおきによる現代仮名遣いで引用

 

 

 

 第四回「麟太郎、ナポレオンと出会う」は、4月23日(金)20:00~、BSプレミアムにて放送です!

 

あらすじはこちら↓ 

www.nhk.jp

 

 

 

 麟太郎の蘭学の師匠の一人、都甲斧太郎先生が登場します。

 都甲先生の登場するお話はこちら↓

 

musuidokugen.hatenablog.com

 

 …永井青崖先生もついでに登場しないかな…。

 麟太郎の未来の妻・さんも登場するみたいですが、どんな流れで麟太郎と仲を深めるのか?

 そして、小吉の出番もちょっとはあるのか!?

 お楽しみに! 

 

 

 

 追記:第四回「麟太郎、ナポレオンと出会う」は、1月29日(土)18:05~、NHK総合にて放送です!

あらすじはこちら↓

(4)「麟太郎、ナポレオンと出会う」 - 小吉の女房2 - NHK