ドラマ『小吉の女房』2の地上波再放送が、開始されます。
第一回は、2022年1月8日土曜日18:05~、NHK総合にて放送です!
詳しい情報はこちら↓
(1)「勝家、地主から追い立てをくらう」 - 小吉の女房2 - NHK
この記事は初回放送時の感想&解説です。ドラマを観た後で読んでね!
勝海舟の父・小吉の妻のお信が主人公のドラマ『小吉の女房』。その続編『小吉の女房2』が、2021年4月2日から、BSプレミアムにて全7回で放送開始となりました。
この記事では、『小吉の女房2』の紹介と感想、エピソードに登場する『夢酔独言』要素について解説します。前シーズンでは解説の勢い余ってだいぶネタバラシをしてしまった気がするので、今回はつつましく解説したいと思います(ネタバレあり)。なお、劇中の皆さんのセリフは、おおむねうろ覚えなのでご了承ください。
・第一回「勝家、地主から追い立てをくらう」あらすじ
勝家の女房・お信(沢口靖子)は、お金の苦労をしながらも、無邪気で笑顔を絶やさない。夫の小吉(古田新太)は、生来の無鉄砲者。両親を見守るのが、やがて「勝海舟」として江戸の人々を救うことになる息子の麟太郎(鈴木福)。お信と小吉は、地主・岡野家のトラブルに巻き込まれる。悪党・丈助(マキタスポーツ)に騙され当主(中村靖日)と祖母(松原智恵子)は窮地に立たされる。小吉が丈助と対決するが一筋縄では行かず…。
※NHKホームページより引用
・感想
・お信がかわいい(毎回言ってる)
・お順(麟太郎の妹)がやたらめったら冴えてる
・島田虎之助さんが出てくる。お婆様も回想で出てくる
・ナメクジ(『小吉の女房』のマスコット軟体生物)も出てくる
・小吉は終始縁側で寝っ転がって鼻毛抜いてるだけ
・『夢酔独言』的解説
第一話の舞台は、天保十年(1839年)の江戸・本所。
小吉は38歳、37歳で隠居して1年が経ちました。お信は35歳、麟太郎(後の勝海舟)は17歳、麟太郎の妹・順は麟太郎より13歳年下ですから、4歳ぐらいです。
恒例のお信が「家内安全、無病息災」とお祈りし、小吉と麟太郎がラジオ体操をする(この時代にラジオは無い)シーンから始まります。長女の順は仏壇に手を合わせ…その様子を見て、小吉はお婆様(前年亡くなっている)を思い出してギクッとします。
相変わらずの貧乏所帯の勝家、朝食に使う味噌がありません。
「あれ、ない」とつぶやくお信、無くなる前に買っとけと思いますが、かわいいから許す。
一家揃っての朝食のくだりで、麟太郎の剣術の師匠・島田虎之助さんの話題が出ます。小吉が麟太郎について「剣の腕はからっきし」とか言っていたので、麟太郎は剣道は弱い設定なんですかね?確かに、実際の麟太郎が剣術を始めたのは小吉が隠居してからで(ドラマ内時間で1年前)、それも小吉が島田さんに頼んでのことでした。
ひとしきり島田虎之助さんについて説明する麟太郎(男谷道場に弟子入りして1年で免許皆伝で、浅草新堀に道場を開いた)、「強そうな名前ねぇ」と合いの手を入れるお信(かわいい)。
島田さんに会いに行きたいと言う小吉、一方お信は、地主の岡野様を訪ねろと言います。
地主の岡野様と言えば、マンガ『夢酔独言』ではおなじみ、本所入江町で小吉が地面を借りている家です。
地図に名前もあるよ
お信・小吉・麟太郎三つ巴の「行く・行かない」問答の末、ダチョウ俱楽部方式でお信が岡野家へ行くことになります。
一方小吉は、舎弟の巾着切りの銀次と歩きながら、岡野家について解説します。すると、横文字が書かれた本を熱心に読んでいるメガネの人とぶつかります。彼は花井虎一といって、林町に住んでいて、何やら蘭語(オランダ語)を勉強しているようです。「何だあの横文字は…」といぶかる銀次に、「あれは蘭書だ」とひとしきり解説する小吉。意外と博識です。
この花井って人が、後に麟太郎と絡んでくるのかな…?
一方お信は、勝家にて岡野家のご隠居・お多賀さんとおしゃべり。このお多賀さんもかわいいです。この人が先代の孫一郎さんの妻だとすると、『夢酔独言』では、小吉に「孫一郎を隠居させてくれ」と頼んだお前様と同一人物のようです。
ドラマでここに至るまでの間に、『夢酔独言』では引っ越したての小吉が先代の孫一郎さんの悪評を知らないまま金の工面をしたり、そのせいで勝家が貧乏になったり(「大迷惑をした」by小吉)、お前様に頼まれて孫一郎さんを隠居させたり、後継ぎの孫一郎さんの家督相続の時には江戸城まで付き添ってあげたり、(新)孫一郎さんのお嫁の世話をしてやったり(これはドラマで言っていました)、その他何やらかんやらしてあげています。
先代の孫一郎に似て、現当主の(新)孫一郎も酒乱でぐうたらしていて困ると語るお多賀さん。「親の悪い手本を見て子はまっすぐ育つというけれど…」小吉が『夢酔独言』を書く伏線かな?
ここでお多賀さんとお信による「小普請金(こぶしんきん)」の解説があります。はやおきは『夢酔独言』に書いてないもんで、「小普請金」のことは分からないのですが…。
小普請金は、小普請組に所属する非役の旗本および御家人が、100石につき2両納めなければいけない金で、1500石の岡野家は30両、41俵の勝家は2分(30両の60分の1)ということでした。岡野家大変…!
一方その頃、小吉は先ほど行った道具市であつらえた着物を着て、浅草新堀の島田道場を訪ねます。ちょっと奇抜なファッションですが、このときのいでたちについては、『夢酔独言』で具体的な記述があります。
緋縮緬(赤い絹織物)の襦袢にしゃれた衣類を着て、短か羽織で拍子木の木刀を一本さして、会いに行ったらば、
※はやおきによる現代仮名遣いで引用
自分の父親が、派手な格好をして剣術の師匠に会いに行くとか嫌過ぎますが…「酒は飲まねえのか」と聞く小吉、「修行中なのでやめています」との島田さんに、「江戸で修行をするのにそんな狭量ではやっていけない」と、ムリヤリ連れ出します。
このあたりのやりとりはこちら。
片や本所の勝家では、お信とお多賀さんが話しているところへ、岡野家の用人(大名・旗本の家で、庶務・会計などにあたった職)の大川丈助がやって来ます。
丈助を見て、「断りもなく人の家を覗いておりました。悪人です」と言う長女・順。めちゃくちゃ冴えています。その通りだ…!!
夕方、麟太郎が勝家に帰宅すると、父・小吉によって多少不良に染まった島田虎之助先生が(ドラマでは吉原の昼営業へ行って帰ったとなっていますが、『夢酔独言』では、ガッツリ座敷で遊んで翌日帰りました)。
『夢物語』という、モリソン号事件(天保八年、西暦1837に起きた事件。浦賀に対日通商を求めて渡来したアメリカ船モリソン号を、砲撃して追い返した。モリソン号には、遭難した日本の漁師も乗っていた)を批判する本について話題提供する島田先生。実際の島田先生も、後々麟太郎に蘭学を勧めることもあり(ネタバレ)、国際情勢に関心があるというのは自然な流れです。
一方、お信は、モリソン号に乗っていた日本の漁師を気遣います。「早く家族に会えるといいのに…」その通りだ…!優しい…。
『夢物語』については何やかんや裏があったりするのですが、そこはネタバレになるので置いといて、『夢酔独言』では小吉の子供時代に一回登場して終わりなのに『小吉の女房』ではレギュラーキャラの石川太郎左衛門さんがチラッと顔出しになります。
あと、高野長英さんはまた登場するんですかね?
そんな感じの蛮社の獄でした(雑なまとめ)。
そんなこんなしているうちに、岡野家では当主の孫一郎さんが用人の大川丈助の言いなりで、丈助に30両もの大金(2回目)を渡してしまい、お多賀さんは大事な茶道具を、道具市で売り払ってほしいとお信に頼みに来る始末…。
いよいよ仕方なく、岡野家へ向かう小吉。岡野家、めちゃくちゃデカいです。お城みたい。で、中では当主の孫一郎さんが、丁半博打に興じている(当時、旗本の間で博打が大流行していたのを反映させた場面と思われます)…。物理的にひっくり返して博打メンバーを追い出すと、孫一郎さんを説教する小吉。しかしそこには丈助も同席し、売り言葉に買い言葉、いつの間にかお信も来ていて「まあひどい」、同じ敷地に住んでるもんね…で、「出て行け!」となります。
その後、何やかんやあって丈助もいよいよ追い出されそうになるのですが、「その前に岡野家のもろもろの支払いの立て替え金339両を返してもらいます」と言い出す丈助。当主の孫一郎さんに、丈助に立て替えてもらった記憶はないのですが、どうやら、丈助はつけかけ(水増し計算)しているようす。
二つあったはずの控え帳は、丈助によって行方不明にされてしまいました。
マンガ『夢酔独言』ではこんな感じ↓
「親類が何とかするだろう」と、縁側で寝っ転がって鼻毛を抜く小吉でしたが…。
そうこうしているうちに、丈助がご老中に駕籠訴(かごそ)!
その後も、こんな感じで↓ずっと大変な岡野家。
岡野家に何かあったら、勝家もヤバい(by小吉の兄の彦四郎さん&兄嫁のお遊さん)とのことで、岡野家騒動に首を突っ込むのをためらい、今日も今日とて縁側で寝っ転がって鼻毛を抜く小吉でしたが…。
お信がハッパをかけて(もまだグズグズしてたけど何やかんやあって)、小吉は丈助の元へ向かいます。
大川丈助さん、ドラマでは悪者ってことになってましたが、『夢酔独言』を読んだ限りでは、そんなに悪人という印象でもありませんでした。『夢酔独言』に登場する人は、だいたい人から金を騙し取るので…。それを解決する小吉の自伝ですからそういう傾向になってしまうのかもしれませんが、その小吉も、けっこう口から出まかせで解決したりします。
『小吉の女房2』第二回「小吉、腹を切る?」は、4月9日(金)20:00~、BSプレミアムにて放送です!
小吉は立て替え金を用立てるため、摂津へ旅立ちます。
一方、留守を守るお信は…。
マンガ『夢酔独言』を読んで予習してね!全然内容違うかもしれないけども!
追記:
第二回の地上波放送は、2022年1月15日土曜日18:05~、NHK総合にて放送です!