マンガで読める『夢酔独言』

マンガで読める『夢酔独言』

勝海舟の父親・勝小吉の自伝『夢酔独言』がマンガで読めるブログです。

マンガ『夢酔独言』 十八話「行き倒れる」

 勝小吉自伝『夢酔独言』より、小吉14歳一度目の家出エピソードその7です。

 前回、伊勢から四日市方面まで戻った小吉は、白子(しろこ)の松原で熱を出しますが…。

 

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 それから二人言い合ってまたまた伊勢へ行った。その男は四国の金比羅へ参るとて、山田にて別れ、おれは伊勢に十日ばかりフラフラしていたが、だんだん四日市の方へ帰って来たが、白子の松原へ寝た晩に頭痛が強くして、…

※はやおきによる現代仮名遣いで引用

 

 

 

 前回までのおさらい。

 四日市で、伊勢で知り合った男と再会した小吉。一緒にまた伊勢へ行きますが山田(伊))で別れ、四日市方面へ戻ります。その途中、白子の松原で熱を出します。

 

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 東海道(青い線)から外れていますが、小吉は土地勘がないので、海沿いの道を進んだと推測できます。

 伊勢外宮~白子間の距離はおよそ15.5里(図から集計)。一里≠3.9㎞なので、約60.45㎞です。小吉はこの旅で一日MAX50㎞歩いており、通常はその7割~半分と見積もって、だいたい2、3日で移動したものと推測できます。

 

 

 

…白子の松原へ寝た晩に頭痛が強くして、熱が出て苦しみしが、翌日には何事も知らずして松原へ寝ていたが、二日ばかり経ちてようよう人心地が出て、往来の人に一文ずつもらい、そこに倒れて七日ばかり水を飲んで、ようよう腹を肥やしいたが、その脇に半町(約55m)ばかり引っ込んだ寺があったが、そこの坊主が見付けて毎日毎日麦の粥をくれた故、ようよう力がついた。

 二十二、三日ばかり松原に寝ていたが、坊主が薦(こも)二枚くれて、

「一枚は下へ敷き、一枚は夜掛けて寝ろ」

と言った故、その通りにして、ブラブラして日を送ったが、二十三日目頃から足が立った故、大きに嬉しく、竹きれを杖にして少しずつ歩いた。

 それから三日ばかりして、寺へ行って礼を言ったら、

「大事にしろ」

とて坊主が古い笠と草鞋をくれた故、その門を出ると、またまた呼んで、銭を百文ばかりくれた故、ようよう一日に一里(約3.9㎞)ぐらいずつ歩いてきたが、…

 

 

 

 小吉は熱を出して寝込んでただけなので、特に解説することはありません。

 

 このくだりは、勝小吉もう一つの著作『平子龍先生遺事』にもあって、こんな感じ。

 

途中白子の松原にて熱を煩ひ、二十日計も道中に倒れ伏しけり。傍らに法華宗の寺ありしが、持主やら知らず、日日尋ねくれ、重湯粥など持出しくれけり。二十二、三日過ぎて少し快くなりしかば、右の僧に此度の礼を申述べて、四日市まで、やう々々一日に一、二里づゝ歩き着きけり。

 

 原作『夢酔独言』では、白子の松原の後、再び伊勢へ向かい、『平子龍先生遺事』では、四日市を経て石部(滋賀)へ向かいます。つまり白子→四日市は共通なのですが、

マンガ『夢酔独言』では、この後へ向かいます。 

※(2023年8月23日追記)

 …とは書いたものの、正直両方の著書で伊勢方面行きになってるのを失念してて、それなのにそれをすっ飛ばして府中に行かせてるのがすごく気になってしまったので、十八話の後に十四話(原作『夢酔独言』では本来十八話の後に来るエピソードだが、『平子龍先生遺事』との折衷をしているうちに十四話になった)を持ってきて十九話として、元の十九話は二十話とします。

 一度目の家出編は『平子龍先生遺事』との折衷案のつもりだったんだけども、エピソードの時系列をいじったのはそこだけだったんだよな…しかし原作を読み込むうちに成立しなくなるとは…(中略)好き!!

 十八話の後に移動することにより、旧十四話の小吉に笠と草鞋と薦(こも)と杖を描き足さなければいけないので、十四話は丸ごと描き直す予定です。パパのクラリネットかよ!

 

 

 

 十九話「地獄で地蔵に会う(仮)」に続きます。

 府中まで戻った小吉。病み上がりで弱っていた小吉は、遊郭へ足を踏み入れますが…。

 お楽しみに!