『夢酔独言』 百三十四話 男谷精一郎対島田虎之助
前回までのおさらい:天保八年(西暦1837)、江戸へやって来た九州の剣豪・島田虎之助。江戸での剣術試合は連戦連勝だった虎之助だが、男谷道場の主・男谷精一郎には一勝二敗と負け越す。ほぼ互角と取る虎之助だが、剣術遣いの井上伝兵衛に「あなたは男谷殿に手も足も出なかったのと同じだ」と言われる。
天保八年十一月二十四日に男谷道場にて島田虎之助が試合をし、翌二月七日に男谷道場に入門した
という記録と、あとはどの資料か忘れましたが、
島田虎之助は男谷精一郎と試合をして一勝二敗だった。その後、井上伝兵衛の試合で惨敗した虎之助は、井上伝兵衛から「男谷精一郎は三本勝負で一本は相手に勝ちを譲る」と聞き、男谷精一郎に再試合を申し込み、今度は圧倒されて弟子入りを申し込んだ
という逸話から構成しました。
※例によって試合のシーンの描写はテキトーです。
ところでこの男谷精一郎信友は、「剣聖」と謳われた江戸後期屈指の剣豪で、勝海舟の従弟、つまり『夢酔独言』の原作者兼主人公・勝小吉の甥にあたります。甥と言っても、小吉の20歳以上年の離れた従弟の子供なので、小吉より3歳年上です。
百三十四話の時点で、島田虎之助は24歳、勝麟太郎(後の勝海舟)は16歳です。
百三十五話「剣術の世の終わり」に続きます。