もし自分がエンターテイナーだったら、やりたい死の演出がある。
毎年自分が死んだテイのVTRを作って、最後に死んだはずの自分が登場して、「な〜んだ、生きてんじゃん!」てなる。VTRは毎年撮り直して、常に最新版を用意しておく。
これを、自分が実際死んだ時に流して、皆を喪失感でいっぱいにしたい。そして、さすが稀代のエンターテイナーって思われたい。
現実は映像に出演するようなエンターテイナーでないから、出来ないけども。
理想の小説家もしくは音楽家の死。
若い頃からバリバリの売れっ子で、常に時代の最先端を走っていた。
しかし歳を取るにつれ、作風が理解されなくなり、荒れた私生活や突飛な挙動ばかりが話題にのぼる。時代遅れと罵られる。
不可解なメッセージを親しい人物に残し、失踪する芸術家。そのニュースは少しだけメディアで取り上げられるが、すぐに忘れ去られる。次第に芸術家の存在すら、人々の記憶から消えていく。
そして数年後、芸術家は遺体となって山奥で発見される。どうやってそこへ辿り着いたのか、足取りは全く不明。奇妙な状況と遺留品。遺体は腐敗が進んでいたが、遺作を持っていた。
翌年、遺作は作品として世に出され、大ヒットする。芸術家は再び評価され、後世まで語り継がれる…。
…などという妄想をしました。
芸術家なら、理想の芸術家の最期を思い描いたりするものです。