『夢酔独言』 六十話 それから続けて十三杯呑んだ
亥の日講の宴会で無礼な振る舞いがあったと、神主の吉田兵庫を叱った小吉。それを見た兵庫の甥・源太郎が売ったケンカを買い、小吉は刀を抜いて源太郎を追いかける。
源太郎は逃げ帰るわ、小吉は何度に押し込められるわの大騒動の末、何とか仲直りした二人。宴会はまたまた仕切り直し、源太郎が「一杯呑め」と酒を勧めますが、小吉は酒が大嫌い。さあ、どうする。
毎度切るとか訴えるとか言う小吉ですが、謝られればけっこう簡単に許します。さらには仕切り直しで飲み会再開です。
それから酒がまた出て、大竹がいふには、「一ぱい呑め」といふから、「酒は一かふ呑ぬ」といつたら、「夫(それ)はまだ打とけぬからだ」とぬかす故、盃をよふゝゝ取たら、「汲物わんで呑」とみんながいふ。かんしやくにさわつたから、汲物わんで一ぱゐ呑だら、大勢寄て、「今一ぱゐ」とぬかす。夫(それ)からつゞけて十三ばゐ呑だ。
大勢が寄ってたかって酒を飲ませる文化が、この頃すでにあったようです。普段全然飲まないくせに吸い物椀で13杯酒を飲んだ小吉、記憶をなくします。そりゃそうだ。
六十一に続きます。