『夢酔独言』 五十九話 おれは酒は一向呑まぬ
亥の日講の宴会で、神主の吉田兵庫の振る舞いに腹を立て、仲間を連れて途中退席した小吉。翌日仕切り直しをするも、今度は、公衆の面前で兵庫を説教した小吉に兵庫の甥・大竹源太郎が激怒。源太郎が売ったケンカを小吉が買って、刀を抜きます。
三十八話あたりから、小吉の髪があっちこちからハネるようになってますが、気性の激しさを表したもので、実際はちゃんとセットしていたと思います。
吉田兵庫の甥、大竹源太郎とのケンカのくだりは、ほぼ原作通りです。
「小吉はいらぬ世話をやく。宮川のことに、伯父に大勢の中で恥をかかしおつた。是からはおれが相手だ。さあ小吉でろ」とつて、其身御紋服をきながら、はち巻をして、片はだぬぎて、座敷へ来る故に、しらぬ顔して居たら、直におれが向へ立て、じたばたしおるから、おれがいふには、「大竹は気が違ふたそふだ。雑人の喧嘩を見たよふに、はち巻とはなんのことだ。武士は武士らしくするがいゝ。此方は侍だから中間小者のよふなことはきらいだ」といつたら、「ふとゐやつだ」とて、汲物ぜんを打付たから、おれがそばの刀を取て立上り、…
六十話に続きます。