『夢酔独言』 八十三話 道具市の小吉
小吉、30歳。地主さんのお世話で貧乏になっていたところ、友達から5両もらって商売を始めました。
ただ道具を売り買いするだけで満足しないのが小吉。小吉流、市場での戦略とは。
※最後のページがとんでもなくラフですが、「初之丞様の没年勘違い事件」により、急きょお話の順番を入れ替えた弊害です。
勝小吉の世間でのイメージランキングは
一位、勝海舟のお父さん
二位、江戸時代の変人、面白人物
三位、(武士としては)生涯無職
なんですが、実はこうやって収入を得ていました。
道具の市にては、もおけの半分は諸道具屋へそばまた酒を買つて喰た(くわした)故、「殿様々々」といゝおつて、外の者が買ふものを持てくると、前広に内通してくれる故に、いつも損をしなかつた。
かさ伏の市には、功者(こうしゃ=熟練の人)のものにおれがかさをあけさせたから、見損じて、三匁の者をおれが一分にも入る(いれる)と、かさあけがだんゝゝ見て、「勝様は三匁五分」といふから、五分のそんだからよかつた。其替りには、いつも仕舞には、そばをたとへ五十人来て一ぱいづゝでも、ぜひくわせるよふにして帰したから、町人は壱文弐文をあらそふ故、みんなが悦(よろこん)で、諸々の市場にはおれが乗るふとんを一つづゝ拵へてあつた。
こうやって見てみると、小吉は自分から与えることで、人に良くしてもらうというのをよく実行できています。「つもり貯金」をしたり、長期目線の投資家ですね。
ここで、今回のお金のレート計算のコーナー。
一、小吉の借金三百五十両
→一両10万円として、3500万円!やばい!
その後三、四十両
→3,400万円!やっぱり多い!でもめっちゃ減ったね!
二、飢饉の時にお小遣いにしていた1朱
→一両の16分の1=6250円!…あれ、多くない?
ちなみに月換算すると、187500円!
三、道具の市の手数料百文につき四文
→2500円につき100円!良心的!
ちなみに三月に買った刀は約350000円!(一分は4分の1両)
八十四話「剣術道場の小吉」に続きます。