マンガで読める『夢酔独言』

マンガで読める『夢酔独言』

勝海舟の父親・勝小吉の自伝『夢酔独言』がマンガで読めるブログです。

原作『夢酔独言』の平凡社東洋文庫版と講談社勝海舟全集版の違い

    マンガ『夢酔独言』作画担当者のはやおきです。

    はやおきが原典としている『夢酔独言』(ご存知ない方のために説明すると、勝海舟のパパである勝小吉が江戸時代に書いた自伝で、現代語訳なしでも読めてしかも面白い)は平凡社東洋文庫版なのですが、手持ちの講談社勝海舟全集別巻来簡と資料勝海舟全集にもいろんな出版社のいろんなヴァージョンがあります)を眺めていたら、そこに『夢酔独言』も載っていたわけです。

 で、内容は日頃読んでる東洋文庫版と同じと思って熱心に読んでいなかったのですが、〈中略〉講談社勝海舟全集の解題で、他の勝海舟全集や東洋文庫を「誤りが多い」としたうえで、「我々は戸川氏所蔵の原本から一字々々完全に新しく、かつ原本の字を完全に忠実に読み起こした。」とあり、講談社勝海舟全集版を読めば、より原本に近い内容を把握できるのではないか?と、はやおきはにわかにやる気を出したわけです。

    はやおきはTwitterにて毎日マンガ『夢酔独言』および原作の内容について呟いているのですが、そのついでに東洋文庫版と勝海舟全集版を読み比べ、解釈の違う箇所を見付けたら、忘備メモとしてブログ記事にも書き留めていこうと思います。無闇に更新頻度を増やそうという狡い計画です。

 各比較箇所は、マンガ『夢酔独言』のタイトルと東洋文庫版のページで場所表記します。なお、原本に句読点は付いていないので、句読点の位置の違いは気にしないものとします。あと、意味が変わらない範囲での読み・送り仮名の違い等も無視します(ただし、はやおきが気になった箇所は挙げておきます。意味は変わらんが言い回しが変わってるとこが、けっこうあるのです)。

 

 

 

・五話「百物語」(東洋文庫版16ページ)

 小吉8歳頃、お婆様に悪態をついてパパさんに怒られるくだり。

東洋文庫版:「脇差を抜て、おれに付たが、」

勝海舟全集版:「脇差を抜て、おれに付たが、」

 

 

 

・七話「男谷の悪戯子」(東洋文庫版17、18ページ)

 小吉9歳頃、柔術の稽古日について。

東洋文庫版:「三、八、五、十」

勝海舟全集版:「三八、五十」

 三八(さんぱち)は毎月の3、8、13、18、23、28で、五十(ごとお)は同じく毎月の5、10、15、20、25、30(30の代わりにその月の末日になる場合もある)です。ともに、元は仏教に関わる日です。

 東洋文庫版と比べて、めっちゃ日数が増えてびっくり。

 

 

 

 御竹蔵の番人に送ってもらうくだり。

東洋文庫版:「気概がある故」

勝海舟全集版:「気(づ)かひがあるゆへ」

 全集版の「づ」は付け足し解釈なのでムリヤリっぽいですが、「気遣いがある=心配、懸念がある」は、『夢酔独言』でよく使われている言い回しです。

 

 

 

・九話「頭の息子」(東洋文庫版20ページ)

 小吉が弟子入りする剣術の師匠・鵜殿甚左衛門先生について。

東洋文庫版:「十一の年、駿河台に鵜殿甚左衛門といふ剣術の先生がある。御簾中様の御用人を勤む」

勝海舟全集版:「十一の年、駿河台に鵜殿甚左衛門といふ剣術の先生がある御簾中様の御用人を勤む」

 句読点の位置によるニュアンスの違い。些細なところですが、「十一の年」は小吉が主語なので、「先生がある。」で文章が切れてたら、確かに変かもしれない。

 

東洋文庫版:「忠也一刀流

勝海舟全集版:「忠也一刀流

 東洋文庫版では2つの流派みたいになってますが、全集版では、一刀流の中の流派というようになっています。

 

 

 

・十話「小吉、塾へ行く」(東洋文庫版21ページ)

 小吉12歳、ママさんの金を盗んで乗っていた馬について。

東洋文庫版:「馬の稽古をやめろとて、」

勝海舟全集版:「馬の稽古をあ(きら)めろとて、」

 

 

 

・十六話「侍の馬乗り」(東洋文庫版26ページ)

 小吉が馬喰に見つかるくだり。

東洋文庫版:「おれが目をさましておきあがたら、馬引どもが見おつて、〈中略〉とてさんゞゝしかりおつたが、いろゝゝわびして其の内へかゞんでいて、」

勝海舟全集版:「おれが目をさましておきあがたら、馬引ともが見おつて、〈中略〉とてさんゞゝしかりおつたが、いろゝゝわびことして其の内へかゞんでいて」

 

 

 

・十九話「上方はいかぬところ」(東洋文庫版32ページ)

 二丁町での、女郎屋の客のセリフ。

東洋文庫版:「どか侍の子だろふ」

勝海舟全集版:「どか、侍の子だろふ」

 「どふか(どうか)」は、多分という感じの意味です。小林隼太さんのくだりにも登場する言い回しです。

 

 

 

・三十四話「道場破り」(東洋文庫版45ページ)

 他流試合について、自分が中興の祖と言いたい小吉。

東洋文庫版:「他流は、中興、先づおれがはじめ

勝海舟全集版:「他流は中興先ツおれがはじめ

 「おれがはじめだ」と「おれがはじめた」は若干ニュアンスが違うと思ってここに挙げましたが、勝海舟全集版(原文)では濁点の位置がけっこうメチャクチャ(一般的な位置と逆に付いている場合がけっこうある)なので、本人的には「おれがはじめだ」のつもりで「おれがはじめた」と書いたかもしれません。

 

 

 

・三十七話「信濃での大捕り物」(東洋文庫版46、47ページ)

 小吉が代役で検見(けみ、年貢を決める調査のこと)をするくだり。

東洋文庫版:「榊木といふ村の見場の検見をおれにさせたが、〈中略〉取の時、籾二合五勺あつたから、六合五勺の取を云付たが」

勝海舟全集版:「榊木といふ村の見場のけん見をおれにさせたが、〈中略〉取の時、籾二合五夕あつたから、六合五夕の取を云付たが」

 東洋文庫版では「見所場」となっているのが、勝海舟全集版では「見取場」となっています。「見所場」という単語の意味が調べても見当たらないのに対し、「見取場」には、「地味が劣る田畑あるいは新田の広さをはかり、それに応じて年貢を決めること(いろいろパターンはありますが、おおよそこんな風な意味です)」という意味があります。見取場を調査する時点で、年貢を軽くする方針だったようです。

 また、「取置」という、処分とか処置という意味らしい単語なのが、勝海舟全集版では、「取箇(とりか)」という、年貢を表す単語になっています。

なお、「夕」は「勺」と同じです。

 

 郡代百姓の屋敷で起きた騒ぎのくだり。

東洋文庫版:「夫よりさわぎになつたが、大勢出て召捕としたが、〈中略〉郡代の門をはいるやつをきりおる故」

勝海舟全集版:「夫よりさわぎにゑたが大勢出て召輔としたが、〈中略〉郡代が門をいるやつをきりおる故」

 東洋文庫版では「騒ぎになったが、(誰かは明言しないが人が)大勢出て」なのが、勝海舟全集版では、「騒ぎに、えたが、大勢出て」となっていて、けっこう意味が違います。「えた」は士農工商の外の身分にあった人で、犯罪者の逮捕や処刑をする場合がありました。※はやおきはマンガ『夢酔独言』において、えた身分の人が受ける差別を許容しません。

後半もちょっと言い回しが違うので入れましたが、大筋の意味は一緒です。

 

 

 

・五十四話「二十四歳で隠居も早過ぎる」(東洋文庫版61、62ページ)

 「隠居したい」と言う小吉を、パパさんが諭すくだり。

東洋文庫版:「養へも孝養もして」

勝海舟全集版:「養へも孝養もして」

 「養実」という単語の意味がはっきり分かりませんが…。養家である勝家全体やその一族を指すと思われます。

 

 就職活動に精を出し、合間に剣術の稽古をするくだり。

東洋文庫版:「合にはけいこをしていたが」

勝海舟全集版:「合にはけいこをしていたがの」

 「~がの」という言い回しは、小吉8歳のくだりにも使われています。

 

 

 

・「亥の日講」(東洋文庫版66ページ)

 へそを曲げた小吉を、友達が諭しに来るくだり。

東洋文庫版:「大伊兵衛・橋本庄兵衛・最上幾五郎」

勝海舟全集版:「大伊兵衛、橋本庄右衛門、最上幾五郎」

 橋本庄右衛門さんは小吉の友達で、このくだりの後半にも登場します。別の人かと思ったら、同じ人でした。

 

 

 

・六十話「それから続けて十三杯呑んだ」(東洋文庫版68ページ)

 小吉が大竹源太郎さんとケンカをして、納戸に閉じ込められて説得されるくだり。

東洋文庫版:「大竹と和ぼく(和睦)して呉ろ」

勝海舟全集版:「大竹と和じく(和熟)して呉ろ」

 「和睦」は仲直りすること、「和熟」は仲良くすることです。

 

 

 

・六十七話「小吉、悪霊を退治する」(東洋文庫版73ページ)

 富くじについて。

東洋文庫版:「かけ富でも九十両、徳山と一所に取た」

勝海舟全集版:「かけ(影)富でも、九十両、徳山と一所に取た」

 文字に打ってみたら、文面上は違いがなかったですが…。

 東洋文庫版71ページに「かげ富富くじの当たり番号を賭ける)」という単語が出てきますが、勝海舟全集版での注釈ルビによって、「かけ富=かげ富」とわかります。

 

 

 

・六十九話「小吉、人間を切る」(東洋文庫版73ページ)

 小吉の知り合いの刀鍛冶について。

東洋文庫版:「水心子天秀といふ刀かじの孫聟に心子秀世といふ男」

勝海舟全集版:「水心子天秀といふ刀かじの孫聟に心子秀世といふ男」

 勝海舟全集補注によると、「天秀(正秀)ー貞秀ー正次の系譜が水心子を号したのに対して、娘の秀世は氷心子を号した」「原本で夢酔は「水心子」と「氷心子」をきちんと区別して書いている」そうです。この後、東洋文庫版77ページにも水心子秀世さんが登場しますが、勝海舟全集版では「氷心子秀世」となっています。

 

 

 

・八十二話「掛け捨て御免」(東洋文庫版81、82ページ)

 剣術仲間が、小吉に無尽の話を持ってくるくだり。

東洋文庫版「最早大がひは拵た(こしらいた)が」

勝海舟全集版:「最早大かひは極た(きまった)が」

 意味はおおむね同じですが、言い回しはけっこう違います。

 「大がひ」「大かひ」は、「大概」です。

 

 蔵宿の番頭・又兵衛さんについて。

東洋文庫版:「▢(虫食い)地の又兵衛」

勝海舟全集版:「第地の又兵衛」

 勝海舟全集版補注によると、原本には虫食いは無く、「弟」「茅」「第」などに近いがどれとも断定しかねる草体が書いてあるとのことです。改造社版全集本では「築地」としているが、実際は「築」でもないと。

 

 

・八十三話「道具市の小吉」(東洋文庫版82ページ)

 小吉の買い付けの話。

東洋文庫版:「外の者が買ふものを持てくると」

勝海舟全集版:「外の者がかぶせものを持てくると」

 「被け物(かぶけもの)」という言葉があり、その意味の一つに「偽物」とあるので、それじゃないかと推測しています。「前広に内通してくれる故に、いつも損をしなかつた。」と続きます。

 

 道具屋の皆さんに蕎麦をおごった結果、あちこちの市場に小吉の席が用意されるくだり。

東洋文庫版:「おれが乗るふとんを」

勝海舟全集版:「おれが乗る小ふとんを」

 座布団的なものと思いますが、勝海舟全集版では、そのサイズが明記されていたことが分かります。

 

 

 

・八十八話「悪知恵」(東洋文庫版86ページ)

 次兄・三郎右衛門さんの惣領・忠蔵の惣領の名前。

東洋文庫版:「眊太郎(もうたろう)」

勝海舟全集版:「肫太郎(しゅんたろう、あるいはじゅんたろう」

 勝海舟記念館の学芸員コラム令和3年9月6日(4)『市井に分け入る』に掲載されている当時の資料には、「肫太郎」とあります。5.pdf (city.ota.tokyo.jp)あと、三郎右衛門さんは「三郎左衛門」。これは資料によります。三郎左衛門が正式だとすると、小吉が兄弟の名前を間違ってることになりますが、小吉に限ってはあり得ないことではありません。『夢酔独言』の人名・地名表記はいつもテキトウだから。

 

 評定所の同心・湯場さんの名前。

東洋文庫版:「宗十郎

勝海舟全集版:「宇十郎」

 

 漫画では省きましたが、従弟の竹内平右衛門さんの娘を養女にしたくだり(東洋文庫版87ページ)。

東洋文庫版:「忠五郎は元より弟子故、縁者になつた竹内の惣領三平が」

勝海舟全集版:「忠五郎は元より弟子故、縁者になつた。竹内の惣領三平か」

 原本に句読点は付いていませんが、その位置で、意味が変わることもありそうです。

 ちなみに、濁点が付いてない場合もけっこうあります。

 

 

 

・八十九話「そんな手紙は書いてない」(東洋文庫版89、90ページ)

 三郎右衛門さんのお役目について。

東洋文庫版:「中々懸合(かけあい)は大役故に勤られぬ」

勝海舟全集版:「中々県令(けんれい)は大役故に勤られぬ」

 懸合は『夢酔独言』でよく見る「相談・話し合い」の意、県令は郡司、ここでは代官を指すと推測できます。

 

 正之助と女郎遊びをするくだり。

東洋文庫版:「揚代滞にして六両かねを出してかり、宅へ」

勝海舟全集版:「揚代滞にして六両かねを出して、かり(仮)宅へ」

 東洋文庫版では単に「宅」なのが、勝海舟全集版では「仮宅」になっています。

 

 

 

・九十四話「品用師」(番外編)

 ここのくだりに登場する詐欺師を、マンガ『夢酔独言』では「品用師」と表記していましたが、勝海舟全集版補注に、「ひん用師」は、「信用師」の「し」が「ひ」と訛ったものとあり(そういえば、ドラマ『小吉の女房』でも「しんようし」と言っていました)、てっきり東洋文庫版の原作のどこかに「品用師」と書いてあったからそう当て字したんだと思ってましたが、今一度読み返してみると、どこにもそんなこと書いていませんでした=はやおきのねつ造でしたすみません。

 さりとて、「信用師」という名称も他に見かけないので、「信用師」表記にしていいものか悩みます。清書の時までに何とかします。

 

 

 

・百三話「おれをはめたのは誰か」(東洋文庫版93ページ)

 三郎右衛門さんの謀(はかりごと)を小吉が聞いたくだり。

東洋文庫版:「といふことを慥(たしか)に聞たから」

勝海舟全集版:「といふことを慥に聞たから」

 「聞届ける」は相手に対して「承知する」の意、「聞留める」は聞いたことを心にとめておくの意です。

 

 蔵宿へ、三郎右衛門さん名義で金を借りに行くくだり。

東洋文庫版:「正之助・竹内・諏訪部・龍蔵」

勝海舟全集版:「正之助・竹内・諏訪部龍蔵」

 続けて「三人が道具箱で肩衣まできていつた」とあるので、諏訪部さんと龍蔵さんを一人とすると、計算が合います。調べたら、諏訪部龍蔵さんという人は、本所の地図に名前がありました。

 

 

 

・百六話「島田虎之助に会いに行く」(東洋文庫版95ページ)

 「甘物(うまいもの)は」との小吉の問いに島田虎之助さんの返事。

東洋文庫版:「夫(それ)はい

勝海舟全集版:「夫はい

 ニュアンスは恐らく同じですが、セリフにすると違っています。「いける」のニュアンスかな。

 

 

 

・百八話「後の孫一郎もまたふしだら」(東洋文庫版98ページ)

 岡野孫一郎さんの親類クラハシさんの漢字表記。

東洋文庫版:「倉端」

勝海舟全集版:「倉橋」

 ちょっとした違いですが、はやおきの防備メモとして。

 

 

 

・百九話「立替金が三百三十九両になりました」(東洋文庫版99ページ)

 大川丈介が、立替金の合計を算出するくだり。

東洋文庫版:「支勘定」

勝海舟全集版:「仕勘定」

 「仕揚(しあげ)」には締めくくりといった意味があるので、丈助が一年間で出した立替金を合計した、ということのようです。

 

 

 

・百十話「岡野家大混雑」(東洋文庫版100ページ)

 岡野家の頭(かしら)である遠山安芸守が、ご老中のところへ大川丈介を引き取りに行った際、言われたセリフ。

東洋文庫版:「其位のさぎに」

勝海舟全集版:「其位のさきに」

 「そのくらいのさわぎorさばき」とは、岡野家の大川丈介騒動を指し、その程度のことに、頭(かしら)である遠山安芸守が日数かけ過ぎじゃないの、というようなことを言われています。

 

 

 

・百十一話「島田虎之助、勝小吉を動かす」(東洋文庫版102ページ)

 それまで知らぬ顔を決めこんでいた夢酔(小吉)が、岡野家の大川丈助騒動に介入しそうでしないくだり。

東洋文庫版:「な々々私には丈助は大敵で」

勝海舟全集版:「な々々私には丈助は大敵で」

 「なおなお(尚尚、猶猶)」はますますといった意味で、今まで関わってこなかった自分にとっては、岡野家の皆さんと比べてますます丈助が大敵だというようなことを言いたかったのだと思います。

 

 

 

・百二話「左衛門太郎改め夢酔といった」(東洋文庫版106ページ)

 「夢酔」となった小吉が、岡野孫一郎さんの家来として別名義で上坂するくだり。

東洋文庫版:「左衛門太郎」

勝海舟全集版:「左衛門太郎七」

 「七」って何じゃい…と思いますが、偽名のつもりなのか…。なお、上坂先ではフツウに「夢酔」様と呼ばれています。

 

 

 

・百十四話「夢酔一行、竹槍百姓に取り巻かれる」(東洋文庫版108ページ)

 摂州の御願塚村にて、供の一人・堀田喜三郎さんが、村の代官一家に講釈をするくだり。

東洋文庫版:「おれも聞

勝海舟全集版:「おれも聞

 意味は変わりませんが一応メモ。

 

 

 

・百二十話「初めからそのつもりさ」(東洋文庫版117ページ)

 夢酔(小吉)が村方役人一同に一筆書かせるくだり。

東洋文庫版:「連

勝海舟全集版:連

 連印は、名前+ハンコです。

 

 

 

・百三十二話「決しておれの真似をばしないがいい」(東洋文庫版131ページ)

 夢酔(小吉)の半生の総括。

東洋文庫版:「四十二年かうしているが」

勝海舟全集版:「四十二○○ているが」

 勝海舟全集版補注によると、原本のこの箇所は虫食い部分があり、しかもその範囲から見て「年かうし」という4文字が入るとは信じられず、「年経」「年へ」「年生」「年生き」「年いき」などが候補になるとのことです。

 

 

 

 ここにまとめた箇所は、『夢酔独言』本編始まって以降のくだりですが、冒頭の説教のくだりにも何箇所違いががあるので、それは別記事にまとめます。