マンガで読める『夢酔独言』

マンガで読める『夢酔独言』

勝海舟の父親・勝小吉の自伝『夢酔独言』がマンガで読めるブログです。

マンガ『夢酔独言』 十三話「はじめての物乞いと野宿」

 勝小吉自伝『夢酔独言』より、小吉14歳、一度目の家出エピソードその2です。

 江戸の家を出て6日目持ち物を何もかも失って途方に暮れる小吉に、宿屋の亭主が柄杓を授けますが…。

 

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※ちょっとずつ打って、ちょっとずつ更新します。遅くとも、日曜日中には完了します。

 

 

 

【ここまでのあらすじ】

 養家の姑・お婆様との折り合いが悪い小吉は、14歳の年、上方(かみがた)を目指して、江戸の家を出て東海道を進む。途中、旅の二人連れと一緒になり浜松まで行くが、その晩、持ち物・有り金をすべて盗まれてしまう…。

 

 今回も、主に浜松が舞台のお話です。

 

「何にしろ襦袢ばかりにては仕方がない。どうしたらよかろう」

と、途方に暮れたが、亭主が柄杓一本くれて、

「これまで江戸っ子が、この海道にてはままそんなことがあるから、お前もこの柄杓を持って、浜松のご城下、在とも一文ずつもらってこい」

と教えたから、ようよう思い直して、一日ほうぼうもらって歩いたが、米や麦や五升ばかりに、銭を百二、三十文もらって帰った。

 亭主、いい者にて、その晩は泊めてくれた。

※はやおきによる現代仮名遣いで引用

 

 宿屋の亭主から柄杓をもらった小吉は、米に麦、銭をもらって帰り、一晩泊めてもらうことができました。

 漫画では小吉は便宜上最初嫌がっていますが、原作では、そんな様子はありません。

 

※ネームの段階では、もっと違った話にしていますが、清書にあたり、原作に寄せました。ネームヴァージョンはいずれ下書きに戻す予定なので、よければご覧ください。

musuidokugen.hatenablog.com

 

 

 

 ところで、キーアイテムの柄杓ですが、漫画の中の解説通り、伊勢参り(おかげ参り)の目印で、柄杓を持っていることにより、スムーズに「物乞いする・施しをする」のやりとりが行えたものと思います。

 

 この辺は、手元の資料本

別冊歴史REAL『江戸の旅とお伊勢参り よみがえる江戸の旅事情』 洋泉社MOOK

『絵図に見る伊勢参り』 旅の文化研究所編 河出書房新社

に記載の内容を抜粋してご紹介します。

 

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伊勢参りと柄杓についての解説

 


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「伊勢参宮 宮川の渡し」歌川広重より。

柄杓を持つ子供達。抜け参りと推測できます(二十話あたりで解説する予定です)。

 

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参詣が終わると、柄杓は捨てられました。大量…!

 

 

 

翌日、

「まず伊勢へ行って、身の上を祈りて来るがよかろう」

と言う故、もらった米と麦とを三升ばかりに銭五十文ほど、亭主に礼心にやって、それから毎日毎日乞食をして、伊勢大神宮へ参ったが、夜は松原また川原あるいは辻堂へ寝たが、蚊に責められてろくに寝ることもできず、つまらぬざまだっけ。

 

 で、現在地は浜松でしたが、宿屋の亭主から伊勢参りを勧められた小吉。

 伊勢へ向かいます。

 

 浜松から伊勢までのルートはこんな感じ。

 

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 距離をなるべく正確に把握するため、できるだけ東海道を通るルートを想定しました。

 

 ・浜松~関東海道。距離は「東海道宿村大概帳」による)36里191町22間≒165㎞

 ・関~伊勢外宮(距離は「道中独案内」による)16.5里≒66㎞

合計231㎞です。

 

 小吉が家で初日に歩いた50㎞を一日に進む距離とすると、約5日かかったものと推測できます。

 まあ、初日は頑張っていっぱい歩いたけども、それ以降は日速30㎞とかだったかもしれませんが…。

 

 

 

 その後も、物乞い&野宿で旅を続ける小吉。

 銭もけっこうくれてたはずですが、宿に泊まるには足りなかったんでしょうか…。

 

 

 

 十四話「生米は焚かなきゃ食えない(仮)」に続きます。

 生米はいっぱいあるけれど、生米は炊かなきゃ食えない…小吉が炊いた飯を求めるお話です。

 伊勢路でのお話です。

お楽しみに!