マンガで読める『夢酔独言』

マンガで読める『夢酔独言』

勝海舟の父親・勝小吉の自伝『夢酔独言』がマンガで読めるブログです。

『夢酔独言』 百十七話 支度

『夢酔独言』 百十七話 支度

 

 地主の知行所(支配地)の御願塚村に滞在し、大金を出させるためあの手この手を尽くす夢酔(=小吉)。前回は予言通り、雨を降らせました。

 夢酔の神通力(?)に恐れはしたものの、村方が金を出すかは五分五分の様相。そこで夢酔は、最後の手段に取り掛かります。

 

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 百十六話で、晴れの日に参詣に出掛けて雨降りを予告した小吉ですが、運よく雨が降りました。完全にラッキーの賜物ですが、効果てきめんで、村の皆さんがお金を出す気になってくれたようです。

 

 その晩、供に連れて来た村の奴らが、

「夢酔様は奇妙なお方だ。雨が降るのを、昨日から知っていらっしゃる。神様の納受があると見える。旗本様は違ったものだ。私が百日参ってもこんなことにはならない」

と抜かして屈服したようすだったから、「しめた」と思った。

 翌日、旅籠屋から多田権現へまわって、七ツ時分(午後4時頃)、御願塚村へ帰った。

 夜、猪山(江戸から連れて来た供)が寝室へ来て、

「村中が雨のことで驚いて、皆の気が変わったようでござります。どうにか金が出来そうになってきました」と言ったから、おれも喜んでいた。

 ところが翌晩になると、「金を出そうという者と、出すまいという者半分づつになった」と言う。

※原作よりはやおき訳で引用 

 

 まだダメ押しが必要と考えた小吉は、翌日、大坂まで足を伸ばし、かつて江戸で世話をしてやった下山弥右衛門を訪ねます。そして下山さんが町奉行の用人(庶務・会計係)なのを利用して、町奉行の名義で手紙や贈り物を届けさせ、村人に権威を見せつけます(自作自演ですが)。

 

一同弱気になったのが顔に出おったから、試しに銀主(ぎんしゅ=出資者)のことを聞いてみたら、「いろいろ骨を折ってはいますが、出来ていません」と言うから、その晩は別れて寝た。

 

 このあたりは小吉、我慢強くギリギリのところを責めます。

 おさらいすると、小吉は自分の家の地主であり村の地頭(領主)である岡野孫一郎のため、11月9日から御願塚村へ339両もの大金を出すよう働きかけて、もう一ヶ月ほど経とうとしていました。最初の頃、お供の猪山さんが強引に村と交渉しようとしたため、村人は暴動を起こしています。

 小吉はこれまでも、世話になる代官に「倹約家で、教養のある客人」のように振る舞ったり、御紋服(紋付の着物)で村を歩いたり、町奉行と仲良しに見せかけたり、雨を降らせたりして村の人心掌握にいそしんではいますが、肝心のお金の話題については、時たまさらっと聞いて、返事が芳しくなければ切り上げる、という手法を取ってきました。

  とはいえ、江戸を出る前からの約束で、12月19日までに、大金を持って大坂から江戸へ帰らなくてはいけません。村へ来て江戸へ帰る旅費も、小吉の借金です。

 ということで小吉、最終手段に出ます。

 

※最後のコマで小吉が五右衛門風呂から片足を出してますが、何となく絵的に物足りないから出してもらっているのであって、実際の五右衛門風呂でやると、ずっコケて大惨事になる可能性があります。真似をしないでください。

 

 

 

 百十八話「最後の宴会」に続きます。小吉が村方一同を集めて宴会をしますが、その前に、白無垢を発注したり、白椿を床の間に活けます。これは不穏…!

 

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