マンガで読める『夢酔独言』

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『夢酔独言』 百四十五話 海舟書屋

『夢酔独言』 百四十五話 海舟書屋

 

    嘉永三年(西暦1850)、自身の塾の生徒集めのため、佐久間象山を訪ねる麟太郎(28歳)。

 一方、夢酔(小吉)は鶯谷庵にて、最期の時を迎えます。

 

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 今回のお話は、勝海舟の発言をまとめた『氷川清話』より、佐久間象山のエピソードを元に構成されています。

 

 佐久間象山(1811~1864)といえば、ヒゲをたくわえた肖像でおなじみの、幕末の儒学者です。1850年の時点で40歳、麟太郎より12歳年上です。

 勝海舟の師匠として有名だったりしますが、『氷川清話』の佐久間象山の項目を読む限り、勝海舟佐久間象山を全然尊敬してなかったっぽいですが、まあ…後年の回想ですし、父親の小吉のことも「腰抜け」呼ばわりしてますし、何かしらのお茶目と思って、大目に見ていただけると幸いです。

 

 佐久間象山は、物識りだったよ。学問も博し、見識も多少持っていたよ。しかし、どうにもホラ吹きで困るよ。あんな男を実際の局に当たらしたらどうだろうか…。何とも保証はできないのー。

 あれは、あれだけの男で、ずいぶん軽はずみの、ちょこちょこした男だった。が、時勢に駆られたからでもあろう。

(ここから横井小楠について語る、中略)

 佐久間の方はまるで反対で、顔つきからして一種奇妙なのに、平生緞子(どんす)の羽織に、古代袴のようなものをはいて、いかにもおれは天下の師だというふうに、厳然と構えこんで、元来覇気の強い男だから、漢学者が来ると洋学をもって脅しつけ、洋学者が来ると漢学をもって脅しつけ、ちょっと書生が訪ねて来ても、じきに叱り飛ばすというふうで、どうも始末にいけなかったよ。

※はやおきの現代仮名遣いで、『氷川清話』より引用

 

 …とまあこんな具合に、佐久間先生に関しては、終始上から目線で語っています。『氷川清話』での人物評は、西郷隆盛以外についてはだいたいこんな感じなので、ああ、通常運転だなーと思ってください。

 

 「漢学者が来ると洋学をもって脅しつけ、洋学者が来ると漢学をもって脅しつけ」のくだりですが、いかんせんはやおきはどっちもさっぱりわからんので、かろうじて名前だけ知ってる『孫子(そんし)』を例えに出させていただきました。というか、今回描くにあたって調べて、書物の名前と初めて知りました。孔子とかのノリで、「孫子」っていう人だと思ってたよ…。

 

 「顔つきが奇妙」とか余計なことも言っていますが、勝海舟は意外と他人の器量に敏感なようで、山東京伝について「絶世の醜男子」と言ったり、ある議員さんに「美人でもない妻を連れて歩くな」と注意して怒らせたりしています。ナチュラルに失礼過ぎる。

 

 で、なんやかんやあって例の書(海舟書屋)を見ます。これも『氷川清話』にて、佐久間象山先生が書いた額があって、それを見て思いついたと言っています。

 それがこちら↓ 

 

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『勝小吉と勝海舟 「父子鷹」の明治維新』より

 

あれだけ心中でボロクソに言っておきながら、佐久間先生の書いた字を気に入って号にするとか、なかなかの支離滅裂ぶりですね。そこが、勝海舟の広い視野を表すようで、好きな逸話でもあります。

 

 そもそもが、マンガでは自分の塾生集めのために佐久間先生を訪ねたことになっていますが、実際は、佐久間先生が嘉永三年に砲術塾を開いたのを目当てに訪ねたようです。それだと時お話の時系列が多少噛み合わないため、時空を歪めた結果が、今回のエピソードなのです。   

 

  ところで、佐久間先生は、後年、麟太郎の妹・(麟太郎より13歳年下)を妻にしています。その年の差25歳。その際、母・は「是非この方に」と強く後押ししたとか。よっぽど自分の夫(小吉)が無学だったのがイヤだったんでしょうか…。

 

 

 

  さて、麟太郎が着々と「勝海舟」への道を歩んでいく一方、『夢酔独言』の主人公・勝小吉はひっそりと最期の時を迎えます。

 全体フィクション演出です。

 

 小吉は30歳あたりから脚気に悩まされていたようで、一時重症化した記述(「体がむくみて寝返りも出来ぬようになった」のは脚気の症状のひとつ)があるので、脚気が悪化した末の心不全が死因だということにしました。「起きていた方が楽」というのは、心不全の症状です。

 

 勝小吉の命日は、嘉永三年(西暦1850)九月四日享年49歳でした。

 

 

 

 百四十六話に続きます。マンガ『夢酔独言』最終回まで、あと3話!…逆に3話もあるのかよ!主人公の死後、何をするというのか…。

 お楽しみに!