『夢酔独言』 百三十五話 剣術の世の終わり
天保九年(西暦1938)、春。
息子・麟太郎の出世のために隠居したのに、出世のあてがなくなって、落胆する小吉。麟太郎は剣術修行を始めます。
はじめ麟太郎は親類の男谷精一郎に弟子入りを願い出ていたのですが、精一郎さんの勧めで、島田虎之助の弟子になりました。
今回のお話は、その前日談と後日談です。
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うさぎといえば、現代では「かわいい」モチーフとして定着していますが、もともとは野山を駆ける野生動物として観察され、そのイメージが模様の意味になりました。
うさぎの和柄は、「物音をよく聞き取れる」「健脚」というイメージから、かつては武士に好まれ、また、「多産」の象徴として、女性にも好まれました。
耳をピンと立てていたり、長く強調された手足で跳ねていたり、あるいはじっとうずくまった姿が模様になっています。
「因幡の白兎」から「波にうさぎ」、月で餅をついているという故事から、「月にうさぎ」あるいは「杵を持ったうさぎ」という定番の組み合わせもあります。
この記事では、主に江戸時代元禄期~大正時代の古典的なうさぎの和柄を紹介します。
ボタンの花と、うさぎの組み合わせです。うさぎは扇を背負っていて、それぞれ松と竹が描かれています。
明治~大正時代。
家紋に見られる定番のパターン。江戸時代の陣羽織より。
江戸~明治時代の古布から、うさぎだけ抜き出しました。本来は、波が描かれています。そう思って見ると、波の上で跳ねているように見えますね。
江戸元禄時代の何か(忘れた…)から再現したもの。長い耳が強調されています。とても洗練されたうさぎの模様です。
浮世絵に登場する着物より再現。鼻先が水色で塗られています。
江戸中期の型紙摺印判皿より再現。元の皿の周りには、波の模様が描かれています。たくましい手足。
手遊びでうさぎを表した図です。浮世絵の、子供の遊びのシーンから取りました。
古いウサギの置物。多分、臼とセットだったんじゃないでしょうか。リアルだけど上着来て杵持ってる。服がパツンパツン。
マンガ『夢酔独言』の百二十三~百三十二話が、ここから読めます。
夢酔(=小吉)38~42歳、大坂旅行から帰ってから『夢酔独言』を書くまでのエピソードです。無断で大坂へ行ったことがバレて「他行留(たぎょうどめ=外出禁止)」の罰を食らったり、持病の脚気が悪化したり、天保の改革で家を引き払ったって地元を離れたりしますが、『夢酔独言』を書くに至った境地は、決して暗いものではありませんでした。
息子・麟太郎(後の勝海舟)は17~21歳。師・島田虎之助の教えで座禅を始めたり、夜通しの寒稽古をしたり、万国地図を見て衝撃を受けたり、未来の妻と出会ったりします。
各話あらすじ付き。麟太郎のエピソードには、★マークを付けました。
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マンガ『夢酔独言』の百八~百二十二話が、ここから読めます。
小吉37歳冬の大川丈助と岡野孫一郎の騒動から、摂州へ行って御願塚村で金談をし、江戸へ帰るまでのエピソードです。
「上坂編」全体と、各話あらすじ付き。
29歳の時本所・入江町に引っ越して来た小吉は、金に困っているという地主・岡野孫一郎の世話をする。道楽者の孫一郎のために自分が貧乏になってしまう小吉だが、孫一郎の臨終に、後の孫一郎(息子、当時14歳)の世話を頼まれる。
後の孫一郎もまた道楽者で、酒を覚えてから岡野家は乱れ始める。
小吉が隠居する前年、岡野家に大川丈助という用人(武家の庶務・会計係)が雇われる。小吉は岡野の親類に頼まれて大川丈助を雇わないよう孫一郎に言うが、「地面を返してくれ(=出て行け)」と言われ、ケンカ別れになった。
丈助は岡野家の支払いをたびたび立て替えていたが、1年半後、339両(約3000万円)の返金を強訴する丈助に、返金のあてがない岡野家は困り果てる。小吉は騒動を傍観していたが、島田虎之助に諭され、解決に乗り出した。〈前編〉
解決策とは、岡野家が支配している摂州の御願塚村へ行き、「地頭(岡野家)のために金を出せ」と説得すること。
10月、隠居して「夢酔(むすい)」と名を改めた小吉は、12月19日までに金を用意すると約束して、11月9日、家来を連れて上坂する。
村へ着くと、江戸で聞いた話と違って、金を出す余裕はないという。
夢酔一行に反発し、竹槍まで持ち出した村人たちの心を、徐々に掌握していく小吉。しかし12月に入っても、金は得られないまま。〈中編〉
ある晩、小吉は村人を集め宴会を催し、その最後に切腹をする。〈後編〉
地主・岡野孫一郎のあらましから、大川丈助登場、立て替え金騒動を経て、小吉が江戸を出発するまで。
岡野家の新当主となった孫一郎だが、毎晩乱酒をして、家風は乱れるばかり。
孫一郎の叔父が大川丈助という用人を雇おうとするが、親類たちは反対する。頼まれて丈助を雇わないよう孫一郎に忠告する小吉だが、ケンカ別れになる。
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