マンガで読める『夢酔独言』

マンガで読める『夢酔独言』

勝海舟の父親・勝小吉の自伝『夢酔独言』がマンガで読めるブログです。

ペン入れ練習:2019年4月

ペン入れ練習:2019年4月

 

 マンガ『夢酔独言』のネーム(シャーペン書きの下書き)が終われば、当然清書=ペン入れをする作業が控えています。

    ところが、はやおきは、このブログを立ち上げて(2018年10月末)から、ブログ記事を作成したり、ネームをかいたりするばかりで、ロクにペンを握っていません。

    そこで、当座のネーム公開の目標だったドラマ『小吉の女房』の放送期間も終了した(現在NHK総合にて、毎週土曜日18:05〜再放送中です!)今年4月から、ペン入れの練習を始めました。

 

    前置きが長くなりましたが、はやおきが4月に描いたペン入れ練習の絵をまとめました。言い訳めいた解説付きです。

 全部で17枚あります。

 

 

 

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かわいい小吉。

「いつもなんやかんやで劇画調になるけど、若い女の子ウケするような、線が少なくてポップな絵が描きたい!」という願望で描いた絵です。

…いやまぁ、確かに線が少なくてポップではあるけども…。

 

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『夢酔独言』 百三十八話 西洋狂い

『夢酔独言』 百三十八話 西洋狂い

 

 天保十三年(西暦1842)、勝麟太郎20歳。

 永井青崖(ながいせいがい)先生、都甲斧太郎(つこうおのたろう)先生のもとで蘭学修行に励んでいた麟太郎でしたが、この年の10月長崎の蘭学者高島秋帆(たかしましゅうはん)が捕まり、江戸へ護送されてきます。

 蘭学者が捕まった!」という衝撃が、世間に広がり…。

  

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和柄コレクション 型紙摺印判の幾何学模様と小紋

和柄コレクション 型紙摺印判の幾何学模様と小紋

 

 「型紙摺印判(かたがみすりいんばん)」とは、江戸時代中期に行われた、古伊万里の絵付け技法です。

 模様部分を切り抜いた型紙を器に当て、上から「呉須(ごす)」という顔料を乗せます。すると型紙に空けた穴から呉須が器に付着し、図案を写すというものでした。

 大量生産するための技法というよりも、精密な絵付けを、狂いなく器に施すための技法という向きが強かったようです。

 図案は、一般的な古伊万里のような花鳥画もありましたが、型紙を用いるため、細かい幾何学模様や、小紋模様が多く作られました。

 

 型紙摺印判は江戸後期には姿を消しますが、明治時代に、今度は大量生産を可能にするという特長を買われ、復活します。明治時代の型紙摺印判は、鮮やかなベロ藍(コバルトブルー)で絵付けされ、古典的な模様のほか、文明開化を表現した絵柄もありました。明治時代のものは、「型紙印判」とか、「明治印判」「印判手」と呼ばれます。

 その後、明治時代後半には、「銅版転写印判」技法が導入され、より精密な絵付けが可能になりました。図案はユーモアとバラエティーに富み、比較的安価なため、骨董ファンの間で人気のジャンルとなっています。

 

 …と、明治時代の印判まで解説しましたが、この記事では、江戸時代中期に作られた型紙摺印判の中で、特に幾何学模様と、小紋の模様を紹介します。

 

 

 

・放射に桜と亀甲f:id:hayaoki6:20190630113559j:image

 

  一見、300年前に作られたとは思えないモダンな小皿。よく見ると、桜や亀甲などの、和のモチーフで構成されています。

 

 

 

・陰陽花菱
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 色付き(陰)の花と、白抜き(陽)の花を交互に並べた模様。

 片辺が短く片辺が長い、ひし形に納まる花の模様を、「花菱(はなびし)」といいます。縦長の花菱もまれにありますが、横長が多いです。

 これは消しゴムはんこで再現したものです。元のお皿は、はやおきが財政難の時に、生活費になってしまいました…。

 

 

 

・玉付き襷(たすき)に三種の花菱

 


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 とてもモダンな模様。タスキとタスキの間の玉だけが手描きで、あとは印判です。

 ハート形の花びらがかわいい。

 

 

 

・菊小紋

 


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 ひたすら菊を並べた小紋。基本9枚花びらですが、一個だけ7枚花びらがあります。

 

 

 

・網襷に二種の花菱
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 小さい丸と、花芯を塗りつぶした部分が手描き。

 線画でない、塗りつぶしたような箇所を、「ダミ」といいます。

 ねじれているような花菱は、鉄線(てっせん)の花です。

 

 

 

・二種の花菱十字
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 元のお皿がどんなのだったか記憶にありませんが、記録に「型紙摺印判」とメモしてあるので、型紙摺印判の模様です。

 花火か、昔の模様ガラスみたいできれい。

 

 

 

・毛玉小紋
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  本当は毛玉ではないでしょうが、毛玉に見えます。

 丸の部分がダミ。

 原案になったお皿は、むちゃくちゃ高くて買えなかった…。

 

 

 

・藤襷に菊
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  全体的ににじんでいますが、凝った模様です。

 花の中心を薄いダミで埋め、斜めがけのタスキ部分を手描きで描いています。

 

 

 

・吹き寄せ小紋

 


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  いろいろな型紙摺印判の模様を、ギュッと濃縮したような模様。

 2枚目が消しゴムはんこで再現したものですが、密度が全然違います。

 

 

 

・松皮菱に花菱

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 元は型紙摺印判に違いないのですが、やはり高くて手が出せませんでした。

 ギザギザしたひし形が「松皮菱(まつかわびし)」。松の木の皮を図案化した模様です。

 

 

 

・水面に薄氷

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 単に細かい模様を組み合わせただけかもしれませんが、水面に浮かぶ氷に見立てました。実際、横縞部分のような水の表現は、この時代の古伊万里にあります。

 

 

 

・雁金小紋
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 5ミリ四方ほどの小さな雁金(かりがね)を、びっしり並べたもの。
 この形の器は「結び文型」といい、結び文型の器の半数は、型紙摺印判用と言ってもいいほど。骨董屋さんで見かけたら、チェックしてみてください。

 

 

 

 

 

 

 

『夢酔独言』 百三十七話 都甲斧太郎先生

『夢酔独言』 百三十七話 都甲斧太郎先生

 

 前回、謎の馬医者・都甲斧太郎(つこうおのたろう)先生と出会った麟太郎。「西洋の匂い」がする都甲先生の家を訪ね、西洋の書物に触れます。

 そんな折、九州から罪人が、江戸へ護送されて来ます。罪人の名は高島秋帆(たかしましゅうはん)。都甲先生から聞いた、蘭学者の一人でした。

 

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和柄コレクション 雨竜(あまりょう)

  「雨竜(あまりょう)」とは、龍の一種ですが、一般的にイメージするような、角や鱗がある龍ではありません。また、着物の模様として、基本デフォルメされた状態で描かれます。

 雨竜は、鬣(たてがみ)があって体は長く、基本的には龍らしい姿をしています。しかし角と鱗が無く、口も省略されて、チョウチョの口ように表現されています。体は波のようにうねったり、渦巻いたりしています。目も省略されて、点々で表現されます。

 龍と同じく中国由来のモチーフですが、その穏やかな姿は、日本の他のモチーフとよく調和しています。

 

 

 

・江戸縮緬、絣に雨竜丸f:id:hayaoki6:20190606073842j:image
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『夢酔独言』 百三十六話 西洋の匂い

『夢酔独言』 百三十六話 西洋の匂い

 

 天保十三年(西暦1842)、勝麟太郎、20歳。

 剣術の師匠・島田虎之助から蘭学を勧められた麟太郎。江戸の蘭学者箕作阮甫(みつくりげんぽ)先生に弟子入りを申し込ますが、あっさり断られます。

 次に麟太郎が訪ねたのは、赤坂に住む永井青崖(ながいせいがい)先生。剣術遣い風情の麟太郎に永井先生も難色を示しますが、麟太郎は持ち前の口八丁で、自分を売り込みます。

 

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和柄コレクション 牡丹(ボタン)

 牡丹中国原産の花で、聖武天皇の時代に渡来したと言われ、古くは枕草子に名前が登場します。庶民の園芸用として普及したのは江戸時代で、それまでは主に貴族寺院によって栽培されてきました。

 もともとは薬用として輸入されましたが、花の美しさから、観賞用として日本で親しまれてきた花です。

  開花時期は4~6月初夏を表す花です。冬に咲く品種もあります。

 模様としての牡丹は、単体で華やかさと、春~夏を表すモチーフとして使われます。また、獅子(しし)との組み合わせで、能の曲目「石橋(しゃっきょう)」を表します。後者は、おめでたい和柄として親しまれました。

 明治期の縮緬など、高級素材に多色刷りで使われることが多く、単色刷りでは、あまり多種多様に使われているイメージはありません。

 

 この記事では、古典的な模様として江戸~大正時代の牡丹の和柄を紹介します。

 よく似ている、牡丹と菊の見分け方も。

 

 

 

  • ●牡丹と菊の和柄の見分け方
    • ・牡丹
    • ・菊
    • ・型染木綿、霞に牡丹と柳
    • ・型染木綿、牡丹に扇と兎
    •  
    • ・型染木綿、流水に牡丹と車
    • ・牡丹(一部)
    • ・牡丹(一部2)
    • ・型染木綿、柳と藤絞りに牡丹
    • 消しゴムはんこ、白抜き牡丹
    • 消しゴムはんこ、石橋(しゃっきょう)

 

 

 

●牡丹と菊の和柄の見分け方

 

 

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・牡丹

 

大きな花。花弁の幅が広く、先端が内側に丸まってひらひらしている。花びらに筋が描かれる場合が多い。花の色は、たいてい赤か白。

葉は三つに分かれていて、先がとがっている。

季節は春~夏。

 

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・菊

 

基本、大きな花だが、小菊もある。花弁は細く、先端が丸まっている。たいてい八重咲きで、主に丸まったパターンと、開いているパターンの2つ。小菊は一重咲き。花の色は赤、白、黄のほか、青や紫に塗られたりと、さまざま。

葉は3~5つに分かれ、先端は丸い。

季節は秋だが、季節を問わず幅広く使われる。

 

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こちらは、菊の周りに牡丹の図。実際の大きさ比は逆。菊が主役なので、大きく描かれています。

 

 

 

 

 

・型染木綿、霞に牡丹と柳f:id:hayaoki6:20190519000403j:image

 

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