マンガで読める『夢酔独言』

マンガで読める『夢酔独言』

勝海舟の父親・勝小吉の自伝『夢酔独言』がマンガで読めるブログです。

『夢酔独言』 百十三話 江戸で聞いた話と大きに違うぜ

『夢酔独言』 百十三話 江戸で聞いた話と大きに違うぜ

 

 37歳の11月、大川丈助への返済金339両を要求するため、江戸からはるばる大坂までやって来た夢酔(小吉)一行。しかし、江戸で聞いた話と、ずいぶん事情が違います。

 500両と聞いていた村の用立て金(必要経費)は、700両余り。金を出す余裕はないと言われます。それでも12月には、約束の金を持って江戸へ帰らねばなりません。小吉がとった作戦とは…?

 

f:id:hayaoki6:20190128222815j:image

 


f:id:hayaoki6:20190128222649j:image
f:id:hayaoki6:20190128222723j:image
f:id:hayaoki6:20190128222735j:image
f:id:hayaoki6:20190128222743j:image
f:id:hayaoki6:20190128222726j:image
f:id:hayaoki6:20190128222656j:image
f:id:hayaoki6:20190128222739j:image
f:id:hayaoki6:20190128222732j:image
f:id:hayaoki6:20190128222749j:image

 

 マンガを描いた当時はイメージで徒歩の旅にしたんですが、さすがに駕籠移動だったと思います。小吉は大坂へ旅立つ前に旅費として40両(約380万円)準備していますし、その中に駕籠代も含まれていたはずです。また、小吉は脚気をわずらっており、足が痛くてたびたび歩けなくなったりもしていました。

 

 小吉の旅に同行したのは、猪山勇八郎堀田喜三郎、その他二名。

 小吉は前回隠居に伴う改名をし、現在は「夢酔(むすい)」と名乗っています。

 小吉が着ている上着「道中着(どうちゅうぎ)」、実際は藍染の縞や絣模様でしたが、マンガではハデハデ更紗製です。道中着には、刀を差すための穴が開いているタイプもあったようです。

 

 地主の岡野孫一郎の借金を返すため、岡野の知行地(支配地)である「御願塚村」に来た小吉一行。村の代官・山田新右衛門の家に逗留し、さっそく金談(金の相談)を始めますが、村に金を出す余裕はなさそうです。そこで小吉は、村の視察を始めます。

 

 おれは村を四、五日歩いてまわったが、村中どこを見ても豊かそうであったから、少し安心した。

 新右衛門に、逗留中の入用はいくらか聞いたら、

「これまでは、たいてい出役の用人に供が一人付いて、日に十八匁はかかります」

と言った。

 そこでおれは、上下(上の立場の小吉から、下の立場のお供まで)五人でいろいろ倹約することにした。代官の家で酒肴が出ても食わず、代官のお袋に持って帰らせた。その代わりには、供の者へはおれの懐から手当てを少し出してやって、ときどき伊丹へ遊びに行かせて、内々に呑み食いをさせた。「入用が五人で十匁で済んでいる」と、代官が嬉しがった。

 おれはすぐには金談をせずに、たびたび大坂へ遊びに行っては、村方の様子を隠密に聞いていた。すると、

「村では金を出さずに退屈させて、追い返す手を使う」

と聞いたから、それから毎晩毎晩、代官の新右衛門やその子らを残らず呼んで、昔の智将名将(すぐれた大将、武人)の話をして聞かせた。いずれも喜んで、夜の更けるまで聞いて寝た。

 頃合いを見ておれがまた金の話をしてみたら、「金を出す者がいない」との返事だから、そのままにしておいた。

※原作よりはやおき訳で引用

 

色分けした文章ごとに小吉は時間を費やしているようすで、アンダーラインの言い回しから、 御願塚村へ来てから、半月は経っているようです。大金を要求するというのもあるでしょうが、ずいぶんのんびりしています。

 

 ちなみに、代官の新右衛門さんが言っていた入用(滞在中の接待費ですが…。

 1匁は1両の60分の一なので、

・1両(約96000円)×60分の一=1600円=1匁です。

 通例、村では2人で18匁=28800円かかっていたところ、

5人で10匁=16000円だから安く済んで喜んだ、ということです。1人3200円の計算です。

 …相手はお侍だし、それぐらいかかるのかなあ、というのが庶民の感想ですが…。

 

 さて、お供の一人、猪山勇八郎さんが、村方の人に独自ルートで交渉したところ、なにやら雲行きが怪しくなってきました。

 

 

 

 百十四話「夢酔一行、竹槍百姓に取り巻かれる」に続きます。これは、不穏な展開…!

 

musuidokugen.hatenablog.com

 

 

 

にほんブログ村 漫画ブログ 歴史漫画へ
にほんブログ村