マンガで読める『夢酔独言』

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勝海舟の父親・勝小吉の自伝『夢酔独言』がマンガで読めるブログです。

『小吉の女房』第7話 「お信、花魁の文使いになる」  感想・『夢酔独言』的解説

 

『小吉の女房』第7話 「お信、花魁の文使いになる」 感想・『夢酔独言』的解説

 

 NHKBS時代劇『小吉の女房』第7話の感想と、ドラマの原案にもなった勝小吉の自伝『夢酔独言』と照らし合わせた解説をまとめました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・あらすじ

 

 

お信(沢口靖子)はひょんなことから花魁の花里(朝倉あき)を助け、友人になる。花里は幕臣の磯貝(河合龍之介)と思い合っていたが、身分違いを感じて悩んでいた。お信は、普段はなかなか会えないふたりを結ぶ、文使いの役目を買って出ることに。

NHK公式サイトより引用 

 

 

 

・感想

 

 

  小吉がまさかの冒頭で旅に出てずっと留守

 

 「忠臣蔵」っぽい展開

 

 麟太郎(鈴木福さん)が文使いをする

 

・『夢酔独言』的解説

 

 

  第7話の舞台は、天保八年(西暦1837)割下水小吉(古田新太さん)36歳お信(沢口靖子さん)34歳麟太郎15歳です。年代的には小吉は入江町に住んでいる頃ですが、話の都合上か、ドラマでは割下水(わりげすい)に住んでいる設定です。

 

 冒頭、「またきらず飯か」と文句を言う小吉。このきらず飯とは、お米にきらず(おから)を混ぜて炊いたご飯のこと。『夢酔独言』できらず飯が登場するのは、小吉最初の家出の時。小吉14歳です。

 行き倒れていたところを小田原の漁師・喜兵衛に拾われた小吉は、喜兵衛の家できらず飯を振るまわれ、その後、居候することになり、自分でも炊きます。その時の配合は、「米一升にきらず二、三升(『平子龍先生遺事』より)」だそう。ちなみに、漁に出る時はきらず抜きのご飯でした。

 その後「おらが所の子になれ」と言われますが、小吉は着物と銭300文(約4500円)と弁当にご飯をたくさん詰めたものを盗んで逃亡します。当時の小吉も必死だったでしょうが、目一杯取って行きました。

 

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 その時のエピソードはこちら。

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 さて、地方は飢饉で大変とかいう理由で、「小田原へ行く」と言い出す小吉。サラッと言ってますが、武士の無断外泊はご法度です。「おのれは勝の家をつぶす気か!」とツッコむおばば様(江波杏子さん)。これは『夢酔独言』では、小吉一回目の家出の後のお婆様のセリフです。

 

 構わず支度し、旅立つ小吉。止めろよお信。小吉は江戸の町をぶらつくような格好で出掛けます。これは関所を越える時、「何かフと思い付いて、修行の旅に出ちゃった☆手形持ってないけど通して!」という雑な芝居をするためなんですが、ドラマではそのへん容赦なく全ハショリです。

 

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漁師の喜兵衛の家にも行きます。
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 一連のエピソードは、小吉21歳、二度目の家出の時のエピソードです。喜兵衛にお金も返して、えらいですね。

  ちなみにこの時小吉は飢饉とか一切関係なく、自分の借金で無一文になって、どうしようもないので現実逃避に吉原で一泊してから家出しました。

 何度も言いますが、武士の無断外泊はご法度です。

  そして家出の最中に妻・お信の妊娠(この時の子が麟太郎)が発覚して、連れ戻された小吉は檻にぶち込まれるのでした。

 

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musuidokugen.hatenablog.com

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  話は今に戻って、町を歩くお信と麟太郎。この頃、吉原大火天保八年二月)で焼失し、「仮宅(かりたく)」といって、一般の居住地に仮営業を許された臨時の遊里があちこちに出来ていました。

 仮宅の解説をする麟太郎、お信が情報源を聞くと、やはり小吉です。

 そこでゴロツキに絡まれていた遊女を発見、颯爽と助ける麟太郎。麟太郎のようすを見るに、きれいなお姉さんに良いところを見せたかったようです。血は争えません。

 絡まれていた遊女の名は花里(はなさと)。そこからなぜかお信の恋愛相談コーナーが始まります。花里に恋文のレクチャーをしてあげると言うお信、実際のお信は書や歌をたしなんでいましたから、これは当然の流れですね!

 小吉が檻の中で手習して、歌を信に書いて渡したことを話して、うっとりしながら「あの方は、恥ずかしがりやだから、歌で気持ちを伝えてくれたのでござります」みたいなことを言いますが、この間まで字も読めなかった人間が、そんな芸当出来るわけがないと思います。でも、お信が幸せそうだからいいか!

 

 さて一方、男谷家を訪ねた麟太郎は、この度御番入(ごばんいり、非役から選ばれて、武士として仕事を与えられること)を果たした磯貝という武士を小吉の兄・彦四郎(升毅さん)から紹介されます。

「麟太郎も、磯貝殿を見習うのだ、ゆめゆめ父親のようにはならぬよう…」などと、小吉、ひどい言われようです。

 で、この磯貝さんが、お信が恋愛相談に乗った遊女・花里の思い人のようです。世間が狭いぜ!

 そして、そんな花里にソデにされる『小吉の女房』の意地悪キャラ・石川太郎左衛門(高橋和也さん)、花里の間夫(まぶ、遊女の愛人)が磯貝さんだと聞いて、なにやら悪い笑みを浮かべます。世間が狭い!

 その花里と磯貝さんの仲ですが、磯貝さんが御番入になったと知った花里は、磯貝さんを遠い存在に感じ、つれなくしてしまいます。面倒くさいなあ。

 

 時は流れ4月8日の花祭(はなまつり)。花祭とは、灌仏会(かんぶつえ)の俗称で、お釈迦様の降誕日を祝うお祭りです。

 小吉の娘・順を抱いて歩く銀次。おぉ、銀次の存在を忘れていた…。祭りに来ていたおばば様に「懐を狙われないように、気を付けてくださいね」などと言ってにらまれる銀次。お信も、いくら親しいからってそこらの(元)巾着切りなんぞに娘を抱かせるなよ…。銀次の今週の出番はこれでおしまいでした。

 

  そこでばったり、お信は中野碩翁(里見浩太朗さん)に出くわします。そしてお信経由で花里と磯貝さんのことを知った碩翁は、花里を訪ね、「武士(磯貝さん)の養女になれば万事解決!ワシが手配してあげる!」などとご都合主義もたいがいな提案をします。それにしても、世間が狭過ぎる…。

 

 で、後日花里からその話を聞いたお信は、「まさか、白鬚神社の精(中野碩翁)が…!?」と喜びます。そんな訳ないだろ。でもかわいいから許す。

 「磯貝様にこのことを知らせよう!」となるお信、磯貝さんの剣術道場の弟子である麟太郎に文使い役をさせます。

 …ん?

 

 第7話「お信、花魁の文使いになる」

 

 …。

 まさかの麟太郎が文使いになるという展開。

 

 一方、石川太郎左衛門の目の敵(かたき)にされた磯貝さんは、忠臣蔵吉良上野介浅野内匠頭さながらのいびりを受けていました。

 ここで単語の解説コーナ~。

 磯貝さんが「不調法(ぶちょうほう)を…」と言う場面がありますが、「不調法」とは、「行き届かないこと、しくじり」を意味します。

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 「不調法」は、『夢酔独言』でも出てきます。悪役にしか見えませんが小吉です。

 

 また、中野碩翁が忠臣蔵の由良助」といって居ましたが、これは「あたり前田のクラッカー」的な言い回しで、歌舞伎「忠臣蔵」の登場人物「大星由良助」が、主君の切腹に間に合わなかったことから、時機を逃すという意味です。

 実は、この中野碩翁の言葉が伏線になって、物語は思いもよらない展開を迎えるのですが…。

 それは是非、録画か再放送でお確かめください(感想速報に書いちゃってるけど)!

 『小吉の女房』第7話「お信、花魁の文使いになる」の再放送は、2月 24日(日)18:45~、BSプレミアムで放送です!

 

  そしてすべてが済んで、忘れられたころに帰って来た小吉。ほっとしたあまりお信は小吉に駆け寄ります。いやあ、今週のお信もかわいかった。

 

 

 

・次回予告

 

  『小吉の女房』最終話「小吉、隠居して夢酔となる」は、3月1日(金)20:00~、BSプレミアムにて放送です!!

www.nhk.or.jp

 

 このドラマのために始めたと言っても過言ではないこのブログ。

 『小吉の女房』、いよいよ最終回です。

 予告によると、水野忠邦天保の改革をした人)が出てくるみたいなので、そして小吉も天保の改革に引っ掛かったクチなので、百二十九話あたりが『夢酔独言』で該当するくだりになりそうです。ちょうど明日更新のくだりだ!ご都合展開!

 

 あと、「隠居する」とかしないとか言ってたので、このあたりのくだりとか。

 

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 『小吉の女房』は時系列が自由なので、このくだりの可能性も(予告の小吉が派手な格好をしていたので)。

 

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 いずれにせよ、いよいよ「夢酔」の名が出る最終話!マンガを読みつつ待つべし!