『夢酔独言』 七十九話 地主のふしだら
引っ越し先の地主さんのお金の世話をし過ぎて、貧乏になった小吉。そこへ、地主さんの奥さんがやって来ます。「亭主がふしだらで困っているから隠居させてほしい」。
しかし、親類でもない小吉には、地主さんを隠居させる権利はありません。どうする。
ただただ小吉が地主さんの世話を焼く話です。マンガでは何とかストーリー仕立てにしましたが、原作ではほとんど概要しか書かれていません。
夫(それ)から家事の事もみだらになつているから、家来に差図をして、取締方万事口入して、取極を付てやつたら、程なく又々隠居が岩瀬権右衛門と男を用人に入れて、いろゝゝ悪法をかゐて、権右衛門へ給金弐拾俵五人扶持やつて、好きの事をしおるから、内中が寄て頼む故に、頭沙汰にして、権右衛門を追出して、外(ほか)の用人を入れた。其内に後の孫一郎のおふくろが死ぬ故、隠居がまたゝゝいろゝゝもくろみをしたから、其時も其一件を片付てやるし、其後江雪が女郎を引受連て来た時も世話をして、柳しまへ別宅を拵えてやつた。
そんなやりたい放題の地主さんですが、家と後継ぎのことは心配なようで、あとを小吉に託します。
ちなみに、
・先の孫一郎=江雪さん
・後の孫一郎=家督を継いだ新しい地主さん(14歳)
となっています。
八十話「岡野家の世話」へ続きます。