『夢酔独言』 三十一話 四谷伊賀町の武辺者
年が明け、小吉は17歳になりました。
正月、小吉は男谷兄弟の弟・忠次郎に剣術の試合を申し込みますが、ボロ負けして、「団野(直心影流)」に弟子入りを決めます。
一方、男谷兄弟からもたらされた、平山行蔵という武辺者の話。小吉、会いに行きます。
前半、三人は木刀で打ち合っていますが、たぶん実際は防具着けたり、竹刀使ったりしてるはずです。でないと骨がイッてしまいます。当時の竹刀は、牛革などで刀身を覆ったものだったようです。
ここからしばらく剣術の話が続きますが、『夢酔独言』では、剣術は「使う」もの、「上手い」「下手」で表されます。ほぼ純粋に、技術あつかいです。
…番場へ遊びにいつたら、新太郎が忠次郎と庭で、剣術を遣つて(つかって)いたが、おれにも遣へといふゆえ、忠次と遣たが、ひどく出合頭に胴をきられた。其時は気が遠くなつた。夫(それ)より弐、三度遣たが、一本もぶつことができぬからくやしかつた。
四谷に武芸者先生が住んでいると聞き、ワクワク気分の小吉。
ちなみにこれ↓が平山先生の肖像画。
刀が嘘みたいに長い。
三十二話に続きます。