『夢酔独言』 十七話 どうせ奉公するなら公家がいい
ここまで物乞い&路上生活をしてきた小吉ですが、馬に乗ったら侍に拾われました。大人しくしていればいいものを、14歳らしい理由で侍の家を逃げ出します。そして四日市で、思いもよらない再会です。
せっかく衣食住そろった侍の家に拾われたのに、「上方で公家の侍になりたい」と中学2年生らしい発想をして、またまた逃亡してしまいます。
それにしても、この道中では、この時代、人と人との距離が今よりずっと近かったことがわかります。みんなが見ず知らずの人間を世話してくれる率の高さ…そのかわり、ルール違反したらぶん殴られるけど。
龍太夫のくだりで知り合った男とも、少しの交流でかなり仲良くなっています。
…四日市までいくと、龍太夫を教へた男に逢つた。其時の礼をいつて百文斗り(ばかり)礼にやつたらば、其男がうれしがつて、「久敷(ひさしく)はら一ぱゐくわぬから飯をくおふ」とて、二人で飯を買て、松原にねころんで食つた。
別れてより互ひにいろゝゝのめにあつたはなしをして、其の日は一所に松原に寝たが、…
十八話に続きます。