『夢酔独言』 二十一話 崖から落ちても狼には食われない
崖のそばで野宿をしていた小吉、案の定転落しました。金玉を打って気絶しますが、何とか崖下から脱出します。行くあてもなく、金玉は腫れて膿が出る…そんな小吉を、小田原の漁師がスカウトします。
いきなり身ぐるみはがされたり、物乞いしたり病気になったり、崖から落ちたりと、エンターテイメントが過ぎます、小吉の家出。
一連の家出のくだりは、同じく勝小吉著の『平子龍先生遺事』にも出てきます。平山行蔵(平子龍)先生に、あなたは苦労したことがあるかと聞かれ、家出の時の話をするというもの。崖から落ちるくだりは、『夢酔独言』にはありますが、『平子龍先生遺事』にはありません。
岩のかどにてきん玉を打つたが、気絶をしていたと見へて、翌日漸々人らしくなつたが、きん玉が痛んであるくことがならなんだ。
二、三日過ぎると、少しづゝよかつたから、そろゝゝとあるきながら貰つていつたが、箱根へかゝつてきん玉がはれて、うみがしたゝか出たが、がまんして…
二十二話に続きます。