マンガで読める『夢酔独言』

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勝海舟の父親・勝小吉の自伝『夢酔独言』がマンガで読めるブログです。

小吉の女房 第2話「麟太郎、出世する」 感想&解説

 

小吉の女房 第2話「麟太郎、出世する」 感想&解説

 

 ドラマ『小吉の女房』第2話「麟太郎、出世する」。感想と、原案にもなった勝小吉の自伝『夢酔独言』目線での解説をします。

※ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

あらすじ

  

勝小吉(古田新太)は、幕府に納める小普請金の工面に苦労していた。その頃、女房のお信(沢口靖子)のもとには、「息子の麟太郎を将軍の孫の遊び相手として江戸城に上がるように」という知らせが来る。大変な出世の糸口、勝家にとっては願っても無いチャンスだった。祖母の登勢(江波杏子)とともに大喜びしていたが、泥酔して帰宅してきた小吉が、「そんなものは断ってしまえ」と言い捨てて取り合ってくれない。お信は小吉の本心を聞き出そうとするが…。 (公式サイトより引用)

 

 

 

 

感想

  

沢口靖子さん(お信)がやっぱりかわいい。

・なんやかんやあって皆いい人。胸糞悪くなるような悪人が出てこない。

・ナメクジが出てくる。タレントナメクジなのか、ナメクジながら小ぎれい。

  

 

 

『夢酔独言』的解説

 

 第二回は、小吉の息子・麟太郎(福富慶士郎さん)お庭拝見に行くところから。小吉(古田新太)28歳お信26歳麟太郎7歳です。

 道ばたに居た易者に、「将来大物か大悪党になる」と、いまいち参考にならないアドバイスをもらう麟太郎。易者の関川讃岐は、『夢酔独言』では小吉と知り合いで、『夢酔独言』を踏襲するなら、次回再登場します。

 

 ドラマで、小普請組の武士は年2回「小普請金(こぶしんきん)」を納めなければいけないとありましたが、私は不勉強で初めて知りました。手元の電子辞書を見ると、確かに書いてあります。

 ちなみに「小普請組」とは、禄高200石以上3000石以下の非役の旗本・御家人が所属していた組です。

 

 江戸城のお庭を見学に行く麟太郎。ドラマに出てきた「オチヤさん」というのは、実際男谷家(小吉の実家)の親類で、大奥に勤めていた女性です。ドラマでは「有望な武士の子供」が集められたということでしたが、皆つてを頼りに、息子をアピールするためにお庭拝見に送り込みました。

 

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 一方、小吉はあんまり素行が悪いので、お姑さん(江波杏子さん)に麟太郎の父親失格の烙印押されそう。小吉が道場破りをしてたのは本当ですが、もうちょっと小吉が若い頃の話で、表札は壊したわけではなく家に持って帰りました(どっちもダメです)。地回りの者(地元のゴロツキ)を水に投げ込んだというのは、『夢酔独言』にはありませんが何回かやってたかもしれません。二階から投げ落としたエピソードだったらあります。

 

 小吉は町で、巾着切り(スリ)の男・銀次を捕まえ、お金を持ち主へ返す代わりに見逃してあげます。後日、お金が無いという小吉に、銀次は「影富(かげとみ)」をやってはどうかと持ちかけます。

 当時、賭博の一種で、「富くじ(とみくじ)」というのがありました。まず富札を販売し、その後抽籤、当たり札には賞金を出し、残りは興行主の収入となります。寺社の修理費などをまかなうため、幕府公認でした。全国各地で行われていましたが、江戸で「三富(さんとみ)」と称されていたのが、谷中感応寺目黒不動湯島天神です。

 

 影富は、富くじの当たり番号を予想して、銭を賭ける博打です。その番号を当てるには、どうするか。

 寄せ加持」で人に神様を憑りつかせ、当選番号をしゃべってもらうのです!江戸時代ならでは!

 ドラマでは寄せ加持をする祈祷師・殿村南平を見て小吉が「インチキだ」と言いますが、『夢酔独言』では、南平と小吉は知り合いで、怪しい修行法を教わって、御番入(就活成功)の祈祷もしてもらいます。不確かな神様が有力な頼みの綱なので、大変です。

 『夢酔独言』の影富の番号を当てるくだりでは、「南平みたいなどこの馬の骨か知らんやつが寄せ加持出来るんだったらおれも出来て当然」などとのたまって南平に代わって寄せ加持をします。さらには南平が有料で引き受ける祈祷をタダでやり、南平から恨まれるほど。何やってんだ。

 

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 小吉がそんなことをしているうちに、麟太郎のお城勤めが決まります。ドラマでは小吉の兄・彦四郎(升毅さん)が連絡係ですが、マンガでは甥の精一郎さんが手紙を持って来ます。剣豪として有名な男谷精一郎は今のところドラマには登場してませんが、出る予定は無いんですかねぇ。

 

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 あと、しょーもない感想落書きに必死であんまり頭に入らなかったんですが、ドラマでは江戸城のお庭の由来とか、実のあるウンチクが聞けます。

 

 江戸城に住み込みとなる麟太郎に、小吉は「貧乏旗本の子が江戸城勤めなんか身の丈に合わねえ」と、そんなんだから出世しねーんだろ的な発言をして、乗り気ではありません。でも、麟太郎が利発さを発揮してスカウトされたと聞き、息子を送り出すのでした。というか信の入れ知恵ですね。ここで冒頭の伏線が回収されます。気になる方はドラマをチェックしてくださいね!

 「小吉が暴れるけど実は良いことしてたんだ」のくだりもあります。

 

 7歳にして江戸城勤めが決まった麟太郎を送り出す勝家一同。ドラマでは勝家の用人武家の庶務・会計係)として利平次(石倉三郎さん)がいますが、実際は大兄・彦四郎の家来でした。

 「トンビが鷹を生んだ」というセリフがありますが、子母沢寛の小説『父子鷹』をほうふつとさせます。私は読んだことないのですが、勝小吉も登場する、元祖的な物語です。

  あと、麟太郎が江戸城に出発するとき、徒歩で行ってましたが、「駕籠も用意してくんないのかよ!」と思っちゃいました。

 

 

 

 ・次回予告

 

 さて次回の『小吉の女房』は、「お信の置手紙」です!

 『夢酔独言』で唯一、お信がメインのお話です。

 該当エピソード(推測)はこちら↓

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 次回の放送は1月25日(金)

 マンガを読んで予習しながら待つべし!

 

第3話「お信の置手紙」あらすじはこちら↓

www.nhk.or.jp

 

 

 

 ドラマのキャスト・登場人物紹介はこちらから↓

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  第1話の感想&解説はこちら↓

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 (第2話の)最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。